ウォルマートは3月18日、商品調達などを手掛けるマーチャント(バイヤー)の業務を支援する生成AI搭載アシスタント「ウォーリー」を発表した。ウォルマートの独自データを活用し、マーチャントが迅速かつ効率的に意思決定を行うためのサポートを目的としている。

 ウォルマートのマーチャントは、店舗やオンラインで販売する商品の調達を担当している。戦略的思考やデータ分析力、リレーションシップ構築力が求められるが、特にデータ分析やレポート作成は手作業が多く、時間もかかっていた。

 例えば、パンのマーチャントがプロテインベース食品の需要増加に対応するためには、複数の観点からデータを分析する必要がある。店舗ごとの販売実績、オンラインや店舗、ピックアップ、デリバリーなどチャネル別のデータ、商品カテゴリーごとの売り上げ(ケト、全粒小麦、白パンなど)、ブランド間のパフォーマンス比較といった情報を集約し分析する必要がある。これらの作業には多くのレポート作成とスプレッドシート操作が伴い、相当な労力がかかっていた。

マーチャントの課題解決のためウォーリーを開発

 そこで開発されたのがウォーリーであり、業務効率化を助ける以下の機能を持つ。

-データ入力と分析:複雑なデータセットから瞬時にインサイト(洞察や気づき)を生成する。
-根本原因の特定:商品の売り上げが低下または上昇している要因を診断する。
-操作ガイド支援:業務上の質問に回答し、解決が難しい場合には(デジタル)チケットを自動生成する。
-高度な計算処理:複雑な数式や予測モデルを自動的に作成する。

 操作性も重視しており、専門的なテクニカルスキルがなくても利用できる設計となっている。ユーザーが質問を入力すれば、即座に実用的なインサイトが返される。これにより、マーチャントは商品提供に関する戦略策定や調達業務に集中することができる。

 汎用的なAIモデルでは対応が難しいため、より使いやすくするための「セマンティックレイヤー」を導入し、ウォルマート独自のデータを深く理解できるようにした。高度なアルゴリズムとコンピュテーショナル基盤を活用し、大量の商品データを効率的に処理する仕組みを整えた。導入後、マーチャントからは高い評価を得ている。

 ウォルマートは、バイヤーからのフィードバックを基にウォーリーを継続的に改善する方針を示している。最終的には、ウォーリーが自律的に業務を遂行できるようにして、設定されたガードレール内で戦術的なアクションを実行できるようにする計画だ。