セブン&アイ・ホールディングスは5月1日、同社に買収を提案しているカナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)との間で秘密保持契約(NDA)を締結したと発表した。これにより両社の議論は一歩進むと見られるが、セブン&アイは引き続き、米独占禁止法をクリアするための現実的な店舗売却の検討を重要項目に置き、並行して独自路線での成長も見据える。両社の応酬は激しさを増しそうだ。

 セブン&アイの社外取締役で構成される特別委員会の確認の下、両社間で締結した。同契約には、企業買収において、買い手候補が売り手企業の承諾なく敵対的買収などを試みることを禁じるスタンドスティル条項などを含む。

 特別委員会のポール与那嶺委員長は「今般のNDA締結はACTとの建設的な協議における前向きな進展」とコメントする一方で、「引き続き二つの選択肢を並行して追求する」と主張。一つは、買収が実現した際、米独禁法をクリアするために約2000店の米国店舗の売却が検討されているが、これの実現可能性の追求。もう一つは、スティーブン・ヘイズ・デイカス次期CEOの下での独自マネジメント施策の実現とした。

 前者については、「売却店舗が真に独立して運営される事業となり、売却後も以前と同じレベルの競争環境が維持されること」を重要視。「米独禁法上の規制当局の承認を得られる買い主を見極める取り組みを現在も進めている」とした。また、与那嶺委員長は「当社にとっての最優先事項は引き続き、株主及びステークホルダーの皆様に対し価値を最大化させること」であるとも強調した。