カナダのコンビニ世界大手チェーン、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)によるセブン&アイ・ホールディングス(HD)への買収提案を巡り、両社は3月10日に声明を発表した。

 セブン&アイは株主宛の文書を公開。冒頭で、アーティザン・パートナーズ・アセット・マネジメント社からセブン&アイ取締役会に当てた書簡について「誤った認識をしている」と指摘した。アーティザンは書簡で、次期社長に就任予定のスティーブ・デイカス氏の人事について反対するとともに、ACTから受けている買収提案を検討するよう求めたとされる。

 セブン&アイはACTからの提案を受けたあとのプロセスについて明らかにした。独立社外取締役のみで構成する特別委員会が30回以上の会議を開催し、特に懸念事項である米国の独占禁止法への対処として、2000店舗以上の店舗売却を取りまとめて買い手に譲渡する一方で、その買い手とACTとの競争を担保できるかについて議論をしてきたという。そのうえでACTは最終的な統合契約の後に重複店舗を売却する、あるいは売却先を探すといった主張に固執していたとして、取引が確実に成立する保証がないリスクを負うと判断。現在は買収の最終合意を待つことなく、セブン&アイとACT両社による買い手候補の検討で合意し、買い手候補との接触を始めているとしている。

 これに対しカナダの現地時間同日、ACTも声明を発表。セブン&アイが協議の中で米国の規制当局の承認に関する課題のみに焦点を当てていることに「失望している」としつつ、昨年12月に譲渡する店舗数の具体的な確約を示し、譲渡対象の店舗のポートフォリオや潜在的な買い手に対する売却準備を行う用意があるという。また直近に出されたセブン&アイの声明について、「適切な売却計画について規制当局と協議し、合意に至るべく取り組んでいる」として、見解が異なるとした。(写真は米国でACTが展開しているサークルK)