ドイツのメトロのデジタル子会社ディッシュ・デジタル・ソリューションズが、新たにコンパクトな決済端末「ディッシュペイ・ナウ」を発表した。月額固定費なしで導入できる軽量な携帯端末であり、タッチ決済機能やデジタルレシートへの対応など、現代のキャッシュレス決済ニーズに応える機能を備えている。ドイツ国内のメトロ店舗やオンラインマーケットプレイスなどで入手が可能で、フランス、イタリア、オランダなどにも順次展開する予定。
この端末はディッシュが提供するクラウド型決済サービス「ディッシュペイ」の一部として位置づけられている。事前にディッシュペイアプリがインストールされており、利用者は必要最低限の手続きだけで決済の受け付けを開始できるのが特徴だ。
クレジットカードやスマートフォンでの非接触決済に対応しており、レストランや美容院、週末マーケットの出店者など、多様な事業者にとって導入のハードルが低いと考えられる。また、ディッシュによれば取引データの追跡・確認が容易であり、支払いの履歴をオンラインダッシュボードで一括管理できる点も利点だという。
ドイツ人の過半数がタッチ決済を志向
2025年1月に調査会社YouGovが行ったレストラン利用者を対象とするアンケートによれば、ドイツで回答した人の55%がコンタクトレス決済(カード、モバイル、QRコードなど)を好むと答えた。45歳未満に限れば、その割合は73%に上昇する。
ディッシュペイ・ナウは決済パートナーとの提携により、売り上げの支払いを最短で翌営業日に受け取れる点を強調している。月額料金は不要で、利用者は取引1件ごとの手数料を支払うだけで済む。紙の領収書を発行しなくてもよいシステムも備えており、もし紙のレシートを希望する顧客がいれば、QRコードやEメールなどの形でデジタルレシートを提供可能だ。加えて、チップの支払いもキャッシュレスで受け付けられるよう設計されている。
ディッシュ・デジタル・ソリューションズ社は15年にメトロ AGの完全子会社として設立され、ホテル、レストラン、ケータリング(HoReCa)向けのITサービスや予約システムなどを多数提供してきた。ホスピタリティセクターだけでなく自営業者や零細事業者も顧客として重視している。ディッシュペイ・ナウが同社の複数チャネル販路を通じて販売されることで、デジタルソリューションを実店舗のコアビジネスに結びつける意図があるようだ。
メトロは世界で約1500万人のプロ顧客を持ち、店舗での卸売販売に加え、フードサービス・ディストリビューション(FSD)による配送にも対応するなど、多様な購買方法を提供している。また、ディッシュはすでに16カ国で35万以上のユーザーを抱えており、オンライン注文システムやPOSレジ機能、予約ツールなどを提供してきた。
ディッシュペイ・ナウの発売は、ドイツ・フランスでは今年2月からで、3月にはイタリアとオランダでも予定されている。その後も順次ほかの国々に拡大していく。