「九州を食で制する者こそ流通戦争の新王者」――。DS(ディスカウントストア)のトライアルホールディングス(HD・本社福岡市・2024年6月期売上高7179億円、店舗数318店)がここへ来て「食」で他社に差を付けようとしている。昨年11月に福岡市中心部から北に車で約30分のところにある旗艦店「メガセンタートライアル新宮店」(冒頭写真)の一角(約1200㎡)にフードパークをオープン。ラーメン、カレー、すし、焼肉、ハンバーグ、スイーツと異なるジャンルの業態を子会社の明治屋が直営で出店。例えばカレーの「36Curry」ではミシュラン一つ星を獲得したフレンチシェフ監修のスープカレーのほか、和洋中各ジャンルの職人が手がける新発想のカレーを提供し、これらが大評判だ。一連の店舗の価格帯は従来のDSより二段ほど上に抜けている。流通業界では新潟地盤のホームセンター、アークランズが傘下でとんかつ店のかつやを多店舗展開するなどの例はあるものの、ここまで外食にこだわる姿勢は異例のことだ。

 背景には九州地区の「DS、スーパー、ドラッグストアの激烈な戦争」がある。九州経済産業局によれば、23年度の九州のスーパー販売額(沖縄含む)は約1.2兆円。伸び率も前年度比5.6%増。約165万人の大消費地の福岡市はもちろん、熊本では台湾の半導体受託製造大手TSMCの新工場が完成するなど新たな市場も誕生。こうした地域を中心に需要の奪い合いが加速している。

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