2020年代中の最低時給1500円に向け、中期的に毎年6%の賃上げが求められる中、食品スーパー業界はどのようにして売り上げ、粗利を稼ぐかが問われる。ヤオコーの川野澄人社長は「自社の強みをさらに磨いていくことに尽きる」と明言する。24年の振り返りとともに、25年の戦い方について、出店、商品、人材育成戦略のそれぞれについて語った。前編は南北戦略のシェアの考え方、MDについて。
北エリアでは3㎞商圏のシェアを上げていく
2024年11月までの既存店は好調に推移している。今期は客数の伸びに加え、想定以上に一品単価も上がっている。米騒動による単価アップも含まれるが、下期にかけて特に上向いている。
新店は8店舗の計画で現在7店舗オープン済み(12月20時点)。各店舗が好調に推移しており、特に10月にオープンした北の旗艦店「久喜吉羽店」(埼玉県久喜市)では、様々な取り組みを実験する中、狙い通り、お客様の支持を獲得していると感じている。24年度方針である「南北政策」にさらに磨きをかけていきたい。
南北政策ともう一つ、前期から取り組んでいる「生産部門の強化」についても手応えを得ている。例えば近海魚を集めた〝豊洲祭り〟などの企画はお客様の支持が高まってきている認識があるため、引き続き強みである生鮮、それも〝ちょっといいもの〟をご評価いただけるお客様に対する施策は継続する。