アマゾンが米国内でドローンによる無人航空配送を拡大している。11月5日からアリゾナ州フェニックス西部のトレルソン地域で「プライムエア」ドローン配送サービスを開始した。

 アマゾンの当日配送サイトを基点に、重さ5ポンド以下の対象商品を1時間以内に顧客に届けるもので、2022年から提供を開始したドローン配送の大規模展開の一環。昨年アマゾンはアマゾンファーマシー(薬局)と連携し、テキサス州カレッジステーションでの処方薬の配送も開始している。

 新たにドローンの配送拠点となったサイトは、フルフィルメントセンターと配送拠点のハイブリッド型で、商品の準備から仕分け、配送までを一カ所で行うため、商品を迅速に準備できる。また、近くに大規模なフルフィルメントセンターがあるため、扱う商品数も多い。これにより、新拠点のドローン配送の対象商品は、過去最大の5万点を超える。

 トレルソン市長のフアン・F・ロドリゲス氏は、アマゾンが地域経済の成長に貢献していることを評価し、「アマゾンの革新への取り組みは、私たちの市を前進させる企業精神を示している」と述べている。フェニックス市長のケイト・ガレゴ氏も、「ゼロエミッションの荷物配送は、地域の汚染削減に貢献し、フェニックスを革新技術の中心地とする役割を果たしている」と語る。

 配送に活用する最新型のMK30ドローンは、FAA(連邦航空局)の承認を受けた最初のドローンシステムで、視界外飛行を可能にする高度な衝突回避システムを搭載している。また、従来機種の約2倍の飛行距離を持ち、耳に聞こえる音を約50%軽減し、小雨の中でも飛行可能である。

 MK30は、現在テキサス州カレッジステーションでも稼働しており、アマゾンは今後もこのドローン配送の実証データをもとに、さらに多くの地域に展開していく考えだ。さらに、今後数カ月から数年をかけ、プライムエアのドローン配送プログラムを拡大していく計画で、イタリア、イギリス、米国内の新たな拠点にてサービスを開始する予定だ。