米アマゾンファーマシーは10月9日、2025年までに米国の約半数の都市で処方薬の当日配送を提供する計画を発表した。広大な物流ネットワークと高度な自動化技術を駆使し、薬局業界が抱える課題である「便利で手頃な薬へのアクセス不足」を解消する。
ボストン、ダラス、ミネアポリス、フィラデルフィア、サンディエゴなどの大都市圏でアマゾンの当日配送拠点に新規に薬局を配置することで、顧客の玄関先まで薬を迅速に届けることが可能になる。アマゾンファーマシーは、シンプルな注文プロセス、24時間365日利用可能な薬剤師のサポート、節約方法の多さが特徴だ。
アマゾンファーマシーの最高医療責任者であるヴィン・グプタ医師は、「医療においてはスピードとアクセスのしやすさが患者の良好な結果に直結する」という。診断後、速やかに薬を服用することが重要であり、処方された数時間後には薬が患者に届くことで、治療への順守率を向上させ、健康改善に寄与することが期待されている。
アマゾンファーマシーの顧客は平均2日以内に薬を受け取っているが、2025年末までには、米国の顧客の約半数(45%)が処方薬の当日配送を受けられるようになる。通常、顧客は午後4時までに薬を注文し、その日の午後10時までに自宅で受け取ることができる。
「薬局砂漠」をなくすために
アマゾンは、薬局へのアクセスが難しい地域、いわゆる「薬局砂漠」問題にも取り組んでいる。最近の調査では米国の郡の約半数の住民が最寄りの薬局から10マイル(16km)以上離れて暮らしている。従来の郵送処方では薬が届くまでに最大10日かかることがあり、特に医療サービスが不足している地域では、この遅延が深刻な問題となっている。
アマゾンファーマシーのオペレーション・プロダクト・テクノロジー部門の副社長であるハンナ・マクレラン氏は「顧客が薬を早く受け取れると知った場合、薬を注文する傾向が高まるというシンプルな発見だった。これはアマゾンがよりよいヘルスケアへの関与をサポートできることを示している」と述べている。
そのためのインフラとして、新しい小規模薬局がアマゾンファーマシーの既存の薬局配送拠点を補完する。これらの拠点にはロボットアームなどの自動化技術が導入され、高度な訓練を受けた薬剤師や薬局技術者のチームが管理している。今後はさまざまなサイズの「モジュール式」薬局を開発・展開する計画だ。