SM物流研究会が9月20日、月例のスーパーマーケット販売統計調査の会見で、これまでの取り組みと今後の活動内容について発表した。
今回はライフコーポレーションの首都圏物流部渋谷剛部長に加え、今年3月以降に新規参加した平和堂とエコス、イトーヨーカ堂の物流部門の担当者も登壇。現状と今後の取り組み内容について発表した。
SM物流研究会は昨年3月、首都圏SM物流研究会の名称で、サミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーションの首都圏SM4社によって発足した。その後、首都圏以外の賛同する企業も参加、その数は、現在計16社まで増えており、組織もエリアを越えた「全体会」(SM物流研究会)と「エリア部会」(首都圏SM物流研究会)に刷新した。
新規参加企業には、研究会発足時に策定した4項目、①加工食品定番商品の発注時間見直し、②特売品・新商品の発注・納品リードタイムの確保、③納品期限の緩和(2分の1ルールの採用)、④流通BMSによる業務効率化のほか、「バース予約システムの導入」「パレット納品の推進」「トップコミットメント」を加えた七つの取り組みを求める。
この7項目に対しては、2024年9月20日時点で、参画企業全16社が対応済みだ。
一方、昨年10月に追加目標として掲げた「荷待ち時間を(2024年3月末までに)1時間以内にする」については道半ば。8月時点で超過率4.1%という状況を報告した。とはいえ、前回時(2月時点)より、4ポイント減少しており改善の成果がみられる。その理由について、ライフの渋谷部長は「バース予約システムの導入を加速し、予約率の高い企業のノウハウを学んだ結果」と話す。
ただ、その前の7月の超過率と比較すると1.1ポイント増加。これについては、イトーヨーカ堂の執行役員豊島直人物流室長が「イトーヨーカ堂が足を引っ張っているため」と反省の弁を述べた。今年5月から参加したイトーヨーカ堂だが、豊島室長は「イトーヨーカ堂の物流は遅れている」と指摘、「首都圏、食品に集中するに大変革を進めている今、スーパーマーケット視点での考え方を持たなければならない」と危機感を示した。また、「個社だけで対応を進めていくのはもう時代遅れ」と述べ、物流問題の解決には連携した取り組みが必要との認識を示した。
平和堂の物流部財田晃部長は「関西でも物流の改革をしていきたい」「パレタイズ化は個社で対応していくのは難しい」とコメント。エコスグループの物流子会社、TSロジテックの大塚英治取締役物流センター運営部長も同様に、「物流が商流に及ぼす影響は大きい」と発言し、新規参加の3社全てが、他社のノウハウを学び、24年問題解決に向けて、協業して取り組んでいく姿勢を強く見せた。
今年度は、スピード感をもって取り組みを進めるため、取り組み項目別にグループ分けして検討を進めている。
分科会は四つのチーム制で、「パレット納品の拡大」についてはマルエツ、ライフ、原信、ナルスが担当。「共同配送、空きトラックの有効活用」については、カスミ、西友、平和堂。「生鮮物流における物流課題の解決」については、サミット、東急ストア、イトーヨーカ堂。「チルド物流における物流課題の解決」については、ヤオコー、いなげや、エコスグループ(エコス、たいらや、マスダ、与野フードセンター)が担当している。
現状、協業による具体的な取り組み内容は決まっていない。「見えていない課題を検討会によって可視化するところから始めたい」とライフの渋谷部長は話す。ただ、「パレット納品の拡大」分科会では、メーカーと意見交換を行い、「特売日などまとまった量の商品を納品するタイミングからパレット納品を検討する」など具体的な議論も上がってきているという。同研究会は、メーカー、卸も巻き込みながら「0か100ではなく、できることからはじめていく」(渋谷部長)考え。
(冒頭写真左から、平和堂の物流部財田晃部長、TSロジテックの大塚英治取締役物流センター運営部長、イトーヨーカ堂の執行役員豊島直人物流室長、ライフコーポレーションの首都圏物流部渋谷剛部長)