今春成立した改正物流関連法により、今後一定規模以上の荷主企業に物流統括管理者(CLO)の設置が義務付けられたのを受け、食品スーパー業界で物流人材を育成する動きが始まっている。
全国スーパーマーケット協会は9月3日より、CLOの養成講座をスタートさせた。講座は年12回(各回4時間)を予定しており、前半の7回までは座学、残り5回で参加企業それぞれが自社の物流計画の策定に当たる。参加企業は来年2月に開催する「スーパーマーケット・トレードショー2025」の中で成果を発表する予定だ。
座学では物流センターやプロセスセンターの設計・運用、配送業務、カテゴリー特性(常温、チルド、冷凍、生鮮3品)など広範囲な知識を学ぶ。初回は長年、小売業のアナリストを務めた東京理科大学の青木英彦教授が「企業価値と物流の関係」などについて講義した。
講座を担当する全国スーパーマーケット協会の籾山朋輝氏は「食品スーパーの取り扱い商材は生鮮、日配、加工食品と多岐にわたるが、部門は縦割りになっており、全体最適な知見を持つ人が少ない。講座ではできるかぎり川上にも遡り、知識の習得を目指す。自社なりの解決策を見つけてほしい」と語る。
改正物流関連法では、CLOの業務内容について、①中長期計画の作成、②ドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備、③その他ドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務、の三つを掲げている。
国交省、経産省、農水省の3省合同会議では、このうちの③の業務内容や、CLOを設置する企業の基準について議論を進めている。基準については、省エネ法の指定基準を参考にしつつ、大手事業者から順に日本全体の貨物量の半分程度となるように指定してはどうか、算定基準には取扱貨物重量を採用してはどうかといった案が議論されている。物流の最適化に向けた早めの準備が求められそうだ。(写真は養成講座の様子)