ウォルマートが、付け替えの手間がいらない電子棚札(DSL)の店舗への実装を本格化する。26年までに2300店舗に拡大する計画で、リアル店舗のデジタル化を推進していく。

 テキサス州グレープバインの店舗「ストア266」では、店頭での価格変更方法を強化する革新技術をテストしてきた。同店従業員(アソシエイト)のダニエラ・ボスカン氏(食品・消耗品チームリーダー)は、「顧客がよりショッピング体験を楽しめるように、店舗従業員の価格設定・在庫管理・注文処理と顧客とのやりとり(のバランス)を転換させるものだ」と評価している。

 ウォルマートの店舗には12万点以上の商品が並んでおり、それぞれに値札がついている。価格更新は毎週行われ、新商品発売やロールバック(長期ディスカウント)、マークダウン(値引き)など、幾多の価格更新が行われている。

紙からデジタルへの転換でEC対応も迅速化

 実店舗向けの電子棚札や小売業のIoTソリューションで世界的に実績のある仏ヴュージョングループが開発したDSLの採用で、紙の値札を手作業で交換する必要がなくなり、その時間を接客に傾注できる。

 主な店舗従業員の利点としては以下3点がある。

 1)歩行時間の短縮による生産性向上:DSLは数回のクリックで価格更新ができるため、以前は2日かかっていた更新作業が数分で済む。

 2)ストック・トゥ・ライト(在庫補充の簡素化)機能:店舗従業員が携帯端末を使って棚札のLEDライトを点滅させ、注意が必要な場所を知らせることができる。

 3)ピック・トゥ・ライト(EC注文品ピッキングの迅速化)機能:オンライン注文に必要な処理も迅速化でき、注文の正確性も向上する。

 ボスカン氏は「DSLへの移行は、ウォルマート、お客様、従業員のすべてにとって画期的なこと。効率と顧客満足度の向上だけでなく、業務上の無駄を省くことにもつながっている」としている。