東武ストア越谷店(埼玉県越谷市)に、生体認証によるセルフレジが4月11日から導入された。指をかざすだけで決済などができるため、手ぶらで買い物ができる。この仕組みは、東武鉄道と日立製作所による生体認証を活用したデジタルアイデンティティの共通プラットフォームの第1弾。「指静脈認証によるセルフレジ決済」と「生体認証で決済、年齢確認、ポイント付与の三つがワンストップで可能」という二点において、日本初の取り組みとなる。
利用者は事前に専用サイト(冒頭画像)で属性やクレジットカード、自動連携するポイントなどの情報を登録し、店舗で本人確認と指静脈の登録を行う。事前登録した個人情報と生体情報が紐づけられれば、セルフレジで決済方法に「指静脈認証」を選択することで、簡単に買い物を済ませることができる。20歳以上であれば、酒も購入可能だ。
開始初日の13時時点で、各種データの紐づけまで完了した登録者は約180人。東武ストアでは越谷店のほかに、みずほ台店(埼玉県富士見市)で4月25日から、新河岸店(埼玉県川越市)で5月9日から導入し、この3店舗で数千人規模の登録者を見込む。越谷店の平均客数は1日当たり3200~3300人で、6台のセルフレジすべてが生体認証に対応する。有人レジは2台。
東武ストア取締役常務執行役員の友竹弘幸氏は「従来のセルフレジでは、店員による年齢確認が必要な酒などを購入する際に利用を避けられ、結果的に有人レジが混雑してお客様のストレスになったり、チャンスロスにつながったりすることがあった。生体認証によりセルフレジの利用が進めば、そうした問題をクリアできる上、店舗スタッフの業務負担軽減にもなる。越谷店はセルフレジの利用率が45%と高いため、今回の効果がわかりやすいと思う。たとえばセルフレジの利用率が60%以上まで高まれば、レジ業務の効率化などにつながる」と狙いを語る。
普段から同店をよく利用するという子連れの40代主婦は「小さい子どもを連れていたり重い荷物を持っていたりするときなどは、指だけで買い物できるのはすごく便利。毎回活用したい。今日は試しにお酒と子どものおやつなどを買った」と実際に利用した感想を語った。
東武ストアでのセルフレジを端緒に、東武鉄道と日立製作所は今後、生体認証をホテルやレジャー施設などにも活用し、社会インフラとして普及させていきたい考えだ。