アマゾンはAI分野における日米の協力強化に向けた取り組みを支援するため、ワシントン大学、筑波大学、エヌビディアと新たな研究パートナーシップを締結した。AIの研究とともに、関連分野の人材育成に焦点を当てている。

 日米の大手テクノロジー企業や大学が支援する、AIを発展させるための1億1000万ドルの戦略的イニシアチブの一環として、4月9日にワシントンD.C.の米国商務省で行われた調印式で発表された。

 アマゾンはこの10年間の共同研究に2500万ドルを投資し、以下の四つの主要な年間プログラムを支援する。

1)毎年公募されるAI研究への資金提供
2)各大学の有望な研究者の支援のためのポスドクおよび博士研究員への資金提供
3)日米両国のAI研究に興味を持つ学生を奨励する10週間の学部夏期研究プログラム
4)3週間のアントレプレナーシップ・ブートキャンプ・プログラム

 アマゾンは最近、日本のデジタルトランスフォーメーションとAI導入を加速するため、2027年までにクラウドインフラに約150億米ドルを投資する計画を発表している。また、アマゾンと13年以上の提携関係にあるエヌビディアも、この共同研究にアマゾンと同額の2500万ドルを投資する。

AI人材の育成は世界共通の課題

 世界中の大学では、スーパーコンピューティングを学ぶ機会を提供することで、学生に重要なAIスキルを身につけさせようとしている。主要なAIスキルに対する需要は拡大しているものの、必要な能力を持つ人材は世界中で不足している。専門家の中には、米国の雇用全体の中で、AIスキルを持つ人材の需要の割合は5倍に増加していると計算する人もいる。

 筑波大学はエマニュエル駐日大使の招きにより、ワシントン大学と人工知能分野の専門知識を共有することに焦点を当て、過去1年間にわたり関係を築いてきた。筑波大学は日本では科学研究と技術革新の中心地として知られており、シアトルが技術的な飛躍を促し、世界有数のテクノロジー企業の本拠地であるのとよく似ているとみられている。

 ワシントン州知事のジェイ・インスリー氏は、「つくばはシアトルと同様に科学の街であり、大学とエコシステム全体を活用して、太平洋の両岸でより良い未来を創造する絶好の機会だと考えている」とコメント。「ワシントン大学、筑波大学、アマゾン、エヌビディアの協力が、AIが経済のあらゆる分野に及ぼす大きな影響に対応するため、地域のハイテク部門に研究と人材育成を提供するための一助となるだろう」と期待を寄せた。