円安の進展が国内経済に様々な影響を及ぼした

 2023年の日本経済は、力強さには欠けるものの、底堅い推移を保つことができた。前年来続いている物価上昇を受けて個人消費は停滞したものの、賃上げもあって消費の落ち込みは限定的なものにとどまった。一方、外需については輸出数量が持ち直しに転じ、輸出金額も増勢を高めた。円安による押し上げ効果のほか、米国経済が想定されていた以上に好調さを保ったことが輸出回復につながった。

 米国経済は、前年から続いた急速な利上げの影響により、金利の影響を受けやすい住宅市場に悪影響が及んだものの、個人消費は総じて堅調な推移を保った。歴史的とも言える良好な雇用環境が続いたことに加え、インフレ率が鈍化傾向をたどったことで、賃金の伸びからインフレ率を差し引いた実質賃金の伸びがプラスに転じたこともあり、消費者の財布を支える役目を果たしたことが大きい。この点は、賃金が上昇したにもかかわらず、物価の伸びを下回ったことで実質賃金の伸びがマイナスとなり、消費の足を引っ張った日本とは対照的である。

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