中国ネット通販大手のJDドットコム(JD.com、京東商城、以下、JDコム)は11月11日(独身の日)の例年のセールに先駆けて10月23日からプロモーションを始め、早くも売り上げ記録を更新中だ。

 同社は、10月23日午後8時、2023年の「独身の日」のグランドプロモーションを開始。今年は、従来のように注文を受け付けるだけではなく、購入できるように仕組みを改めたほか、8億点以上の商品を用意。11月13日午前0時までの購入商品対象とした価格保証も実施した。さらに、299元の購入ごとに50元の店舗間割引を提供するほか、先着順で20元のボーナスを提供する販促も実施。「100億元割引」プログラムの対象商品点数を、今年半ばに実施された「JD618大推進」のセール時の2倍に拡大した。

 その結果、イベント開始後10分でユーザーからの注文と全体の取引量が急増し、昨年の4倍を超えた。アイフォン、シャオミ、ファーウェイといった有名ブランドの人気スマートフォンは、わずか数秒で売上高1億元を突破。100億元割引プログラムの商品の販売額も最初の5分間で1億元を上回った。さらに100を超える家電ブランドも売上高が前年同期比10倍に跳ね上がったほか、電動車いすの売上高も同10倍となり、高齢者向け介護用品の需要の高まりがうかがえた。ちなみに、目立ったカテゴリーは、売り上げが200%となった工業地帯のおもちゃ、30倍の売上高を記録した宿遷市産の毛ガニなどで、宝飾品やアクセサリーの売り上げも1億元の大台を超えたという。

 物流面では40万以上の実店舗と提携し、2000以上の地域の消費者に1時間以内の迅速な配達を実現している。

 米国でもブラックフライデーの一大セール期間に先駆けて、リアル店舗もネット店舗も一定期間の値下げやプロモーションが年々過熱している。JDコムも需要の「青田買い」で販売高の底上げを図る戦略だ。不動産バブル崩壊や若者の高失業率が話題となっているが、期間限定セールに消費者が殺到するのも「賢い消費」へのシフトの表れかもしれない。

(トップ画面は、10月19日のキックオフプレスカンファレンスで挨拶するJDリテールのLijun Xin CEO)