リスクを持たずに衣料品を扱う

 自前のアパレルからの完全撤退と食へのフォーカス。3年で33店舗を閉鎖し、2025年度には首都圏中心の93店舗体制に移行する。3月9日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)が発表した中期経営計画の修正内容は、イトーヨーカ堂にさらなる「選択と集中」を迫るものとなった。

 背景にあるのはステークホルダーの不満だ。セブン&アイグループにおける日米コンビニ事業の利益貢献度が高まる中において、一部の大株主の槍玉に上がったのが収益力で見劣りするイトーヨーカ堂だ。コンビニ事業との分離を提案され、HD側が導き出した答えは、「単独ではなかなか難しい」(セブン&アイHD井阪隆一社長)というもの。その上で再成長に向けて事業戦略を見直し、首都圏で食品スーパーを展開するヨーク、シェルガーデンと統合することで、25年度末までにEBITDA(営業利益+減価償却費)550億円、ROIC(投下資本利益率)4%以上を達成すると決断したのだ。ちなみに前期のヨーカ堂単体のEBITDAは158億円。3年で3倍以上を目指す高い目標に対し、同日の会見でヨーカ堂の山本哲也社長は「背水の陣で取り組んでいく」と決意を語った。

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