イオンは3月16日、PB「トップバリュ」を大幅に刷新すると発表した。今期は全商品の約50%にあたる2500品目が新商品とリニューアル品で、売上高1兆円を目指す。

 長年、トップバリュは付加価値型の「グリーンアイ」「セレクト」、NBと同等の品質で価格は安いメインストリーム、低価格が売りの「ベストプライス」の3層構造をとってきた。このブランド体系を大きく見直す。

 セレクトをメインストリームに統合し、グリーンアイ、メインストリーム、ベストプライスの三つの柱として、それぞれにブランドタグラインを新設。グリーンアイは「もっと安心、もっとやさしく」で、ナチュラルやオーガニックなどの自然配慮、持続可能性に貢献する商品づくりを進める。メインストリームは「さあ、ワクワクするほうへ!」として、おいしさと食の楽しさや驚き、使い心地とかっこよさなど、NBにはない価値を提供する。ベストプライスは「今日も明日も、ほしいもの」で、NB以上の品質と低価格を引き続き売りとする。

 新体系の背景にあるのが、この1年のPBシフトだ。2022年度はコロナ禍、物価高、円安などにより価格志向が強まり、NBからPBへのスイッチが進んだ。ベストプライスの伸びが最も高く114%となったが、メインストリームも106%、グリーンアイも104%と着実に伸ばし、結果トップバリュ全体の売上高は9000億円と前期比110%を達成している。

 これについて、イオンの商品担当を兼務する土谷美津子副社長(写真中央)は、「定番で安心、いつも決まったものが良いというお客様の志向が、価格へのこだわり、多様化する価値へのこだわりに変わってきた」ためと見ている。森常之イオントップバリュ副社長(写真右)も「お客様の価値観は十人十色で、従来の3層構造の切り方にあてはまらない」と語る。

 実際、22年度はこうした価値観の変化を踏まえた商品政策が当たったことから、23年度は価格も一つの価値として、PBの価値を全面に押し出す戦略をとる構え。

 発表会当日には、ベストプライスから東北産ホップ「イブキ」を使用した発泡酒としてリニューアルした「バーリアル」、メインストリームからは単身世帯向けに野菜や肉などをしっかり味わえる具材入りスープ「もぐもぐ味わう」シリーズ11種類、今年で発売30周年を迎えたグリーンアイからは、海藻で国内初のASC認証を取得した「宮城県十三浜産わかめ」を紹介した。

 土谷副社長は、売上目標の1兆円に対し、「イオンの理念を商品で具現化するブランドとして、変化するお客様に対応し、達成していきたい」と意気込みを語った。