民政移管で好景気に沸いていた2010年代半ば頃、ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」ともてはやされ、多くの外資系企業が進出を果たした。しかし当時から、様々な問題を抱えていたのが物流だ。小売店に並ぶ商品や工業製品の原材料などをほぼ輸入に頼っていたにもかかわらず、未整備のインフラや閉鎖的な通関制度、脆弱な物流網といった多くの問題を抱え、隣国からでさえスムーズに物を運ぶことができなかった。
しかし、市場開拓の余地があるからこそ、多くの外資系物流企業が進出した。途上国特有の難しさをひとつずつクリアしつつ、各社がしのぎを削るなか起こったのが、19年末からのコロナ禍と21年2月のクーデターだ。そんな中、現地で今も奮闘を続ける日系物流会社・大善の歩みをたどることで、ミャンマーの物流業界を概観したい。