経済産業省、国土交通省、農林水産省の3省が事務局を務める「持続可能な物流の実現に向けた検討会」は1月17日、第5回を開催し、中間取りまとめ案について議論を行った。

 中間とりまとめ案では、物流問題の解決に向け、着荷主に対し「規制的措置」を設けることを検討するなどの内容が盛り込まれた。中間とりまとめは文言を一部修正の上、改めて発表される。

 2024年問題は、24年4月からドライバーの残業時間が年間960時間を上限に設定されることにより、配送能力の低下が生じる可能性があるというもの。NX総研の試算では、不足する輸送能力が全体で14.2%、農水産品に関しては32.5%も不足する恐れがあるという。

 これに対して政府側は危機感を強めている。中間とりまとめ案では現状認識について「多くのガイドライン等を策定してきているものの依然解決されておらず、2024年を前に諸課題が先鋭化・鮮明化している状況」とした上で、「ガイドライン等についてインセンティブ等を打ち出して有効に機能するようにするとともに、類似の法令等を参考に、規制的措置等、より実効性のある措置も検討すべき」とした。

 具体的には、荷主企業の経営者層の意識改革を促す措置のほか、物流プロセスの課題解消に向け、待機時間や荷役時間などの労働時間削減や、納品回数の減少、リードタイムの延長など、物流の平準化を図る措置について、発荷主、物流事業者、着荷主それぞれに対して、「計画的な物流改善を促す措置について検討すべき」としており、参考法令については、「義務をかけつつも、事業者の事業特性に応じた対応や自主性を尊重した取り組みを促すことができるという観点から、省エネ法における中長期計画の作成及び定期報告に係る規定が考えられるのではないか」としている。

 このほかにも契約条件の明確化、多重下請構造の是正などの運賃の適正収受に資する措置の検討、物流コスト可視化の検討なども挙げられている。

 検討会では今後、中間とりまとめを元に2~4月にかけて荷主業界団体へのヒアリングを実施、5~6月には最終取りまとめを行う予定だ。