ファーストリテイリングは1月11日、今年3月の報酬改定で社員年収を最大4割アップさせると発表した。

 同社は人事評価や報酬制度をグローバルで統一しており、職種階層別に求められる能力や要件を定義した「グレード制度」を採用している。このグレードの報酬水準を数%から約4割アップさせる。報酬アップの一例としては、現行25万5000円の新入社員の初任給を30万円に(年収で約18%アップ)、入社1~2年目で就任する新人店長は月収29万円を39万円に(年収で約36%アップ)増やす。

 合わせてフラットで機動性が高い組織運営の実態に沿うよう、従来の役職手当などは取りやめ、それぞれの報酬は基本給と各期の業績成果によって決まる賞与などによって構成するよう改める。新報酬を決めるにあたっては、グローバル共通のグレード基準を、仕事の実績、成果、成果を出し組織に貢献する能力、成長意欲、成長性などの視点から改めて明確にし、上司や経営層、人事部が評価に関わり、フェアなグレード評価とする。

 狙いは世界水準で競争力と成長力を強化するため。同社は報酬改定を世界各地で進めており、特に日本は海外に比べて報酬水準が低く、報酬テーブルを大幅にアップすることで、これまで以上に成長意欲を引き出す。またグローバルヘッドクォーター機能を担い、各国や地域と連携して仕事を進める本社・本部の人材や、店舗で世界に通用する人材にしっかり報いたい考え。今回の報酬改定に先がけ、同社は国内店舗の準社員(パート)・アルバイトの時給を昨年9月にすでに改定している。

 ファストリが火付け役となり、国内小売業の賃金アップの動きが広がるかどうか。今後の大手企業の動きに注目だ。