化粧品口コミサイト「@コスメ」を運営するアイスタイルは8月15日、米国アマゾン・ドット・コムおよび三井物産と資本業務提携を締結すると発表した。アマゾンに対して転換社債型新株予約権付社債(CB)25億円の発行と新株予約権115億3800万円を割り当て、三井物産にはCB15億円を発行する。払い込み日はいずれも9月6日で、これらが実施されると、アマゾンが所有するアイスタイル株式は36.95%で筆頭株主となり、三井物産は3.98%の第5位株主となる見込み。
この資本業務提携で、アイスタイルはアマゾン上にオンラインストア「@コスメショッピング(仮称)」をオープンする予定。アマゾン上でコスメ・美容に関する様々な情報提供、幅広いブランド・カテゴリーでの化粧品販売を展開していくほか、今後、@コスメショッピングを起点に、オンラインとオフラインの各種施策における連携なども検討する計画だ。
三井物産との提携では、同社が有する国内外での幅広いネットワークを生かし、アイスタイルの海外事業におけるパートナーの発掘や紹介、関連したマクロデータの提供に加え、国内流通事業における店舗開発や課題解決のサポートなどの共同事業を検討・開発していく予定。
また同日、子会社のアイスタイルリテールが、九州北部を中心に調剤薬局などを展開するミズ(佐賀市)が運営する化粧品専門店「東京小町」を買収したと発表。神奈川2店舗、東京、埼玉の各1店舗の計4店舗を10月1日より運営する。
アイスタイルは1999年創業。2012年に東証マザーズに上場し、同年東証第一部に市場変更した。売り上げの半数以上をECと店舗の物販が占める一方、利益はメディア・広告事業が稼ぎ頭だ。近年はグローバル事業が拡大していたが、中国の新EC法施行に伴う越境EC市場の競争激化、香港におけるデモなど環境の急激な変化もあり、海外での不採算事業の規模縮小や撤退を余儀なくされていた。
加えて、新型コロナの影響による広告事業の減収や、大型店への先行投資、来店客数減少による店舗事業の低迷で2020年6月期より赤字が続いており、22年6月期は売上高が過去最高となる前期比11.2%増の344億円だったが、営業利益は4億5300万円の赤字だった。今回の資本業務提携で財務基盤を強化し、店舗買収も合わせることでECと店舗事業の再成長を図る。