物流需給の逼迫を背景に、メーカー、卸、小売りの製配販が共同配送に乗り出す。3月4日の「フィジカルインターネット実現会議」(運営:経済産業省、国土交通省)において、イオンリテール、イトーヨーカ堂、三菱食品、PALTAC、味の素、花王などで構成されるスーパーマーケット等WG(ワーキンググループ)が、2030年に向けたアクションプランを発表した。
フィジカルインターネットとは、トラックや物流倉庫のシェアリングによる持続可能な物流システムを指す。WGでは、2030年のあるべき姿として、メーカー・卸・小売り間や小売り店舗間の共同配送、さらに帰り便の有効活用による車両の相互活用が進んでいる状態を目指すとした。またこれらをスムーズに行うために、パレットや折りたたみコンテナ(オリコン)、カゴ台車などの物流資材が標準化されることによるユニットロードの実現、RFIDなどのテクノロジーの活用による入出荷の際の検品レス、在庫管理の効率化などが必要との認識を示した。
具体的な動きとしては、約50社が加盟する製・配・販連携協議会において、22年度に四つのWGを新設する。
「商流・物流におけるコード体系標準化WG」では、データ連携の煩雑さが課題となっていることから、コード体系の運用のルール化、「何を」「どこからどこに運ぶのか」にかかわる商品情報や事業所情報について、業界標準のマスタ構築を視野に入れた議論を進める。
「物流資材の標準化および運用検討WG」では、パレット、オリコン、カゴ台車などの物流資材の標準化と、これによる自社所有からレンタル利用に切り替わる際のコスト負担のルール化も含めたレンタル物流資材の運用方法について検討を行う。
「取引透明化に向けた商慣習検討WG」では、共同輸配送、共同拠点利用を実現する上で課題となる商慣習の見直しを進める。店舗納品に際して、商品の価格と運賃などの物流コストを分離せずに一括価格で決める「店着価格制」は、物流コストが不透明であることを踏まえ、物流コストの可視化、取引の際の物流明細提示による取引価格の透明化、定番商品の発注適正化を進め、商慣習のルール化を目指す。
「データ共有による物流効率化検討WG」では、共同輸配送、共同拠点利用を進める上で各社が所有するトラックや物流拠点の利用状況の可視化が求められることから、共同利用のマッチングに必要な各種データの整理、データ連携を進める。
中でもコード体系の標準化と物流資材の標準化と運用検討を優先的に検討していく方針。まずは今年7月に開催予定の製・配・販連携協議会において、アクションプランに対する加盟企業の賛同宣言を行い、内外に広く周知していきたいとしている。