市場の半分を占める蚊用殺虫剤を強化

 フマキラーは、ポストコロナ時代の新価値創造を重点政策のキーワードに掲げ、屋内用の虫対策製品群を中心に価値ある製品を提案する。今年の春夏商戦でも、リニューアル品を含む10アイテム・17SKUを新規投入し、殺虫剤市場の活性化を狙う。

 コロナ禍による来店客数の減少を受け、客単価、一品単価アップが課題となる小売業にとって、平均単価が上昇傾向にある殺虫剤は、売り上げ、利益確保の観点で重要な製品と言える。1200億円を超える殺虫剤市場は、夏場を中心とした半年間で作られているが、近年は、温暖化や気密性の高い住宅の普及とともに、殺虫剤の使用期間も、2月末から10月の末ごろまでと長期化。さらに、一昨年からは、コロナ禍による在宅時間の増加に伴い、家の中および周辺での殺虫剤使用機会も増え、需要が伸長するとともに、今まで殺虫剤を使ったことが無かった層の利用も増加、すそ野も広がっている。

 昨年は、例年に比べ梅雨入りが著しく早く、殺虫剤の需要期と重なったため、業界全体の売り上げは前年比97%と減少したが、一昨年比では、112%と大きく伸長。長期的に見ても、気温上昇に伴う害虫被害のリスクが高まっていることから、今後も市場の拡大が期待されている。

 この流れを牽引するのがフマキラーだ。同社マーケティング部の真鍋友和課長は、「天候不順で市場全体が低迷した昨年も当社は業界全体を上回る実績を上げ、市場を下支えした」と強調。昨年は、新商品の売り上げ拡大が寄与して市場の伸びを上回り、業界トップの伸長率を達成した。

 今期、同社が力を入れるのが、蚊用殺虫剤だ。

 「ハエ・蚊用製品は、殺虫剤市場全体の半分を占めるため、2022年を勝ち抜くには、このカテゴリーの復活が最重要」(真鍋課長)として、蚊よけや防除用製品の販売を強化する。

 その筆頭となるのが、殺虫剤「おすだけベープスプレー」(医薬部外品)シリーズだ。ワンプッシュで薬剤が部屋全体に広がり、最大24時間の蚊の駆除効果がある。ハエ・蚊用殺虫剤において、ワンプッシュ製品は需要が伸びているカテゴリーで、競合も取り扱いを強化しているが、ハエに対する駆除効果が4時間持続する点や残量が見えるクリアボトルの採用は同社だけの特徴だ。製品は容量別に、60回、120回、210回、280回の4種類があり、280回分は、無香とフルーティフローラルの香りの2ラインで展開する。

 

「おすだけベープ」(医薬部外品)の最大容量 280 回は無香とフルーティフローラルの香りの 2 種類で展開(写真
右、中)、「おすだけベープスプレー ルームバリア」(左)は、スプレータイプの新商品
「虫よけバリアブラック 3X パ
ワーアミ戸用」は、横風でも薬効
を発揮しやすい形状にした

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