作業の標準化を13年度から継続

 来年で社長就任から10年。川野澄人社長はこの間、旗艦店をいくつも立ち上げ、FSPによる顧客分析を行い、商品力を磨いてきた。ただその裏側で、川野社長が最も苦心した課題は人手不足への対応ではなかったか。今期から走り始めた第10次中期経営計画は個店の強化、商品開発強化と久しぶりに「攻め」に軸足が置かれているが、その一つ前の9次中計(2018~20年度)では、むしろ「『チェーン』を強くする構造改革」を優先課題と位置付け、生産性改善や働き甲斐の向上など、内部充実に時間を費やしてきた。さらに時をさかのぼればこの10年間、ヤオコーが取り組んできたオペレーション改革、インフラ投資が着実に効果を上げている。ここではその10年の取り組みを振り返ってみる。

 まずすっかりヤオコーに定着した取り組みが「カイゼン」だ。店舗作業の無理、無駄を省いて標準化し、それを水平展開することで、チェーン全体の生産性改善につなげようというもので、前社長である川野清巳氏の時代から取り組み始め、13年度にバトンを受けついだ澄人社長もその流れを踏襲した。

 最初に着手したのが「朝一作業」だ。モデル店である草加原町店(埼玉県草加市)にて、開店前から開店直後までの一連の作業について、事前準備、備品の定位置管理、作業改善の検証を行い、できあがったオペレーションを全店の全部門へと波及させていった。

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