日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、10月26日、2021年度上期業績と「DX-CO・OPプロジェクト」の進捗について発表した。

 全国65主要地域生協の上期(3月21日~9月20日)の宅配事業供給高は、前年同期比99.2%とわずかに前年を割り込んだが、19年同期比は116.9%と大きく伸びた。5月は、昨年最初の緊急事態宣言で急伸した宅配需要の反動から前年を下回ったが、6月以降は堅調に推移。在宅時間の増加を反映してか、調理冷食(特に麺や米飯、畜産、総菜)をはじめとする冷凍食品が好調だった。

 一方、店舗事業供給高は、前年同期比96.3%、19年同期比105.0%。8月までは前年割れが続いたが、9月は前年をクリア。こちらは、すぐに食べられる惣菜類が好調だった。

 日本生協連の上期の総供給高は2210億円、前年同期比97.8%と、コロナ特需に沸いた昨年の反動減となったが、19年同期比は113.2%の2桁増と、引き続き高い水準を維持している。そのうちコープ商品事業供給高は1738億円、前年同期比98.5%(19年同期比112.2%)で、冷凍食品(冷凍麺や冷凍米飯)、飲料、加工食品(即席スープ)が好調に推移した。 

 下期以降の見通しについて、二村睦子常務理事は、「コロナが落ち着けば、内食需要も落ち着くと見られ、今後も伸びが続くとは考えにくい」と厳しい見方を示した上で、「価格対応も含め、組合員のニーズに応えたものを提供していきたい」と語った。また、コープ商品の開発については、「環境やサステナビリティに対応した商品、1人暮らしも含めたそれぞれの組合員のライフスタイルに合った商品の開発に力を入れる」構え。さらに、コロナを機に新規加入した若い世代の定着については、「思っていたより進んでいるが、引き続き利用を促進するための施策は必要」との見方を示した。

 業績と合わせて発表された「DX-CO・OPプロジェクト」については、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、東海コープ事業連合と共同で検証事業に取り組んでおり、検証結果に基づき、成果が確認できた施策から順次、日本生協連を通じて全国の生協へ導入していく方針だ。その一つが、AIによる「宅配カタログ配布効率化」で、過去の注文履歴からAIが総合的な評価を行い、次回以降カタログを配布するかどうか判断する仕組みを新たに構築する。

 二つ目は、レシピから注文できるWebサービス「コープシェフ」だ。今年5月からみやぎ生協で本格運用を開始、その後コープ東北サンネット事業連合の会員生協全体に拡大しており、11月初旬より順次全国の会員生協へ展開する。なお、サービス網の拡大とともに、レシピの増加など、機能の強化にも取り組む構えだ。

(トップ画面は、「コープシェフ」のレシピ注文画面イメージ:日本生協連ニュースリリースより)