ホーユーが白髪染めの新たな需要獲得に向けた取り組みを進めている。その一つが男性向け部分白髪ケアアイテム「メンズビゲン クイックスティック」だ。昨年10月、一部のオンラインストア限定で発売した商品で、プロダクトとパッケージのデザインを「ビームス デザイン」が監修。白髪染めらしくないファッションアイテムのようなポップなデザインのパッケージとなっている。機能面では、ペンのように手軽に使えるマーカータイプでキャップを外して塗るだけで白髪を隠すことができる点などが特徴だ。

メンズビゲン クイックスティック

 男性の染毛率は、同社の調査によると白髪ケアなどを行う男性は全体の2割にとどまり、残りの8割の中の一定数が染毛以外に白髪をケアする人がおり、その中の8割が抜いたり、切ることで白髪を目立たなくさせている。その中で、同商品は、「朝の忙しい時間にサッと塗るだけでケアができる便利さが支持され、想定以上のニーズがあった」(販売戦略室媒体計画課の藤原慎一氏)。このような背景から店頭販売を決定。この10月からドラッグストアやホームセンター、大型スーパーなどでも販売していく。

 ホーユーのもう一つの取り組みでは、今年5月からウェブ上で髪色の仕上がりをシミュレーションできるツール「髪色きせかえ」をスタートした。これは、ヘアカラー「シエロデザイニングヘアカラー」全14色と「ビューティーラボ ホイップヘアカラー」全16色の仕上がりをスマートフォンアプリと連動して、リアルタイムで体感することができるというもの。同月から女優の栗山千明を起用したテレビCMの放映を開始し、髪色きせかえを訴求している。

髪色きせかえは、スマホのカメラアプリと連動し、リアルタイムで仕上がりをシミュレーションできる

 ホーユーが髪色きせかえを始めたのは、消費者のSDGsに対する意識の高まりも背景にある。藤原氏は、「現在売り場で展開している毛束付きトレーはプラスチック製です。脱プラスチックの観点から毛束付きトレーを削減し、髪色きせかえにシフトしていきます」とその狙いを語る。サービス開始から3カ月が経過したが、「髪色きせかえの利用者は予想以上で、そこからさらにホーユーのサイトに遷移する方も多い」(藤原氏)と手応えを得ている。

 髪色きせかえのスタートに合わせて、シエロデザイニングヘアカラーのパッケージも刷新。14種類の髪色にあわせて異なる着こなしのモデルを前面に押し出し、30~40代の女性に向けてヘアカラーで実現する魅力的なライフスタイルを提案している。ホーユーは、時代の変化に合わせた白髪染めの提案で、ユーザーのさらなる拡大を図る構えだ。