精肉テナント事業／バリューネットワーク「肉の雅屋」／加工から販売まで完全委託システムで高質で割安な精肉を販売

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ドラッグストアを中心に全国1500店弱まで急成長

　完全委託の精肉テナントの導入が小売業で広がっている。精肉をテナントに委託することで厳選した銘柄精肉をお買い得価格で提供することができるからだ。そのため主にドラッグストアの集客の柱として支持が集まっている。この精肉テナントで急成長しているのがドラッグストア、業務スーパーで精肉テナント契約数全国ナンバーワンを誇る「バリューネットワーク」だ。　

　同社は精肉・青果のテナント事業を手掛けており、業務委託形式で店舗管理運営を任せられる熟練の精肉のプロと契約。委託事業者として精肉担当者が責任を持って加工から販売のすべての業務を行う仕組みだ。テナント数は精肉テナント「肉の雅屋」の屋号を中心に、青果テナント「青果雅屋」を含め、昨年の約650店から倍以上の1352店（2021年4月時点）に、この1年で一気に急成長している。今年もすでに300店以上のテナント導入が決まっており、全国で拡大中だ。

　テナント事業の責任者である生鮮テナント事業本部の五十嵐崇晃本部長（写真左）は、「もともと肉屋の当社は地盤である近畿を中心に、精肉事業を強化したい業務スーパーさんや食品スーパーさんに『インストア方式』の委託テナント事業を始めたのがきっかけです。その後に、バックヤード（作業場）の狭いドラッグストアさんから要望が強かったため、プロセスセンター（PC）で加工した商品を店舗に発送する『アウトパックシステム』を採用いただいた。この1年はコロナ禍で生鮮食品を扱うことが必須となり、新規の精肉テナントの立ち上げが急増しています」とビジネスチャンスを語る。

　特に小売業から支持されて伸びているのが、店舗のオペレーションの負荷を極限まで合理化したアウトパックだ。オーナー（店舗）側は、精肉の売り場面積に応じてショーケースを入れてスペースを貸しだすだけで済むからだ。同社が精肉売り場の発注から受注、陳列、返品、値付け、POP、商品管理などの売り場作りを一括管理し、店舗は人手が一切かからない。衛生管理が非常に難しい精肉の仕入れや商品管理、販売のノウハウも持たずに、すぐに精肉売り場を立ち上げられる。売り場にはウェブカメラを設置して商品状況を把握、販売数量や鮮度を随時確認して品切れを起こさず、廃棄ロスも削減。オーナーは在庫や廃棄ロスの赤字リスクを回避し、収益だけを得ることができる。

　バリューネットワークの齊藤秀明社長（写真右）は、「精肉を加工するPCも昨年13拠点開設し、全国に25拠点で稼働、今後も4拠点ほど開設予定で、全国のお得意先様にアウトパックを安定供給できる体制を整えていきます」と力を込める。

　もう一つの出店形態のインストア方式は、加工場を設置できるバックヤードの広い店舗向けのシステム。店舗は加工場を貸し出し精肉部門の加工すべてを委託し、精肉のプロがバックヤードで加工し、売り場作りにも対応。販売を積極的に仕掛ける仕組みだ。

　商品でも独自の仕入れ網を生かし、競合他社の精肉売り場を圧倒する。同社はスケールメリットを持った肉屋の調達網を生かし、国産銘柄牛から国産・海外産の牛・豚・鳥の各種部位も割安に仕入れている。同じランクの肉質の場合は、精肉や加工肉を他社に比べ、2割前後割安な価格で陳列できる。さらに、オーストラリアの生産者を集めたストックヤード社と連携。ストレスフリーな環境で穀物肥育したロングビーフと、黒毛和牛で配合した交雑種の高質なオーストラリア産「ストックヤードビーフ」を西日本で唯一直接輸入している。仕入れ価格は通常価格に比べて3割前後安く抑えることができ、店舗は割安な価格で人気のオーストラリア産ビーフを提供できる。これらの国内外の良質な銘柄肉を安く供給できることが最大の強みだ。

HACCP義務化の対応と品質・衛生管理強化の取り組み体制

　また精肉は衛生面を徹底する必要があることから、HACCPの義務化に向けて昨年6月に専門部署を立ち上げ、抜き打ち検査や店舗巡回で、工場内・作業場・売り場の衛生状態点検からPOPの表示点検まで行い、不備があれば改善から対策までを指導する。定期的な勉強会も実施し、拠点責任者の知識と意欲の向上に努めている。

　同社では今後の拡大を見据えて新たな事業にも乗り出す。6月からは対面販売方式の精肉テナント事業も開始。同時に委託する店舗管理運営ができる精肉の責任者も全国で募集している。齊藤社長は、「当社のノウハウや調達網を活用して委託事業者さんが儲かる仕組みも構築しています。独立を全面支援しますので応募をお待ちしております」と語る。業界の垣根が一段と低くなる中で、コストを掛けずに集客の強みとなる精肉テナントがより一層広がることになりそうだ。