キッコーマンは4月27日、中野祥三郎専務が新社長COOに昇格する人事を発表した。現社長CEOの堀切功章氏は会長CEOとなり、経営と執行を明確にした2人体制でウィズコロナの中の舵取りを担う。
6月22日の株主総会後の取締役会で正式決定する。中野新社長は子会社のキッコーマン食品社長を引き続き兼務する。
堀切氏は会見で社長交代の理由について、「コロナで世界中が大きな変化を余儀なくされている中、経営体制を強化して、うまくチャンスとして捉えられるようにしていくため」と説明。中野氏を選んだ理由については「国内・海外の営業、経理・財務、プロダクトマネジャーと、重要業務をほとんど経験して成果を出してきた。安心して後を託せると確信している」と語った。
経営戦略については、2018年に策定した長期ビジョン「グローバルビジョン2030」の達成を引き続き目標とする。
売り上げの6割、営業利益の7割を稼ぎ出している海外戦略について、中野氏は「現時点ではアメリカが中心で、ヨーロッパも伸びているが、アジア、南米などまだまだ成長余地があると考えている。人的資源をいかに育成して活躍してもらうか」が今後の鍵だとした。
一方、国内事業については、「コロナで生活者の考えや行動が変わった。食や健康への関心が高まっているので、(キッコーマンが成長できるかどうかは)その期待にいかに応えられるかにかかっている。お客様に認めていただける価値ある商品を開発していく。業務用は前年の売り上げは厳しかったが、外食に対する生活者のご要望も変わってきていて、テイクアウトは伸びている。外食の中でも成長する市場をいかに捉えていくかが重要だ」と語った。
また中野氏は社長就任の抱負として「伝統はあるがスピードアップが課題というのは以前から指摘されているところ。お客様の満足度をいかに得られるか、社会に貢献できるか。全社員が自分ごととして全員参加のチームワークで整合性をとって行動したい。またデジタル技術が発達してきているので、攻めと守りでデジタルを活用してスピードアップを図れるように努めたい」と述べた。
同日発表したキッコーマンの21年3月期業績は、売上高4681億円(前期比0.1%減)、営業利益426億円(同7%増)の微減収増益での着地となった。国内海外ともにコロナによる外食産業の冷え込みで加工分野の需要が減少したものの、家庭内需要が増加。特に海外における売り上げ増が増益に寄与した。今期からIFRSを適用するが、従来の日本基準では売上高4925億円、営業利益439億円の増収増益を見込んでいる。
(写真は会見で社長交代を発表した堀切功章・新会長CEO(左)と中野祥三郎・新社長COO)