キッコーマンは6月9日、米国第1工場完成から50周年の記念式典を米国ウィスコンシン州で開催した。記者会見で茂木友三郎名誉会長は、「革新を続けつつ、伝統を尊重するという理念の下、地域社会と共に反映し続ける」と今後の抱負を語り、ウィスコンシン大学に対し、持続可能な農業と淡水研究支援として500万ドルを寄付した(写真、中央が茂木名誉会長)。ウィスコンシン州政府は同社の50周年を記念し、6月9日を「キッコーマンデー」に制定すると発表した。
米国第1工場は1973年にしょうゆの生産を開始。市場拡大にあわせて工場の製造能力を拡張し、現在の出荷量は製造初年度の30倍で、世界最大のしょうゆ製造拠点となっている。
記念式典後の日米経済カンファレンスは「変動性、不確実性、複雑性、曖昧性(VUCA)の時代における持続可能な世界経済成長の実現に向けて」をテーマに、キヤノングローバル戦略研究所理事長で、元日本銀行総裁の福井俊彦氏やウィスコンシン州知事のトニー・エバース氏などが登壇し、それぞれの立場から提言を行った。福井氏は日本のバブル後最高値を続ける株高について「潜在的な成長率が上がり、結果として株価も上がっているのであれば問題ないが、今の状況はむしろ不安感を持って見ないといけない。高度経済成長時代は先読みすることで成長できた。先が読めない今は、これから世界をどうしていきたいか、フューチャーデザインしてそこに近づいていく必要がある」と述べた。
夜の式典ディナーには日米流通幹部や地元の工場関係者、キッコーマンの関係者など約670人が参加して50周年を祝った。また前日の8日には日米食品流通シンポジウムが開催され、日本からはセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長、ヤオコーの川野幸夫会長、アクシアルリテイリングの原和彦社長が登壇し、議論を深めた。