百貨店の低迷が続いて久しい。コロナがこれに追い打ちをかけた。百貨店は復活できるのか。業界関係者なら誰もが抱く懸念だろう。大丸松坂屋百貨店は、札幌進出に当たってはローコスト運営を徹底。GINZA SIXでは、全フロア定期賃貸借運営と新たな道を切り開いてきた。その革新性がコロナ下で、百貨店復活の戦略として動き出した。(インタビュアー・栗田晴彦)
まず何でも扱うところから脱却する
――百貨店は市場の縮小が続く中で、コロナ禍に直撃されました。現状をどう捉えていますか。
澤田 かつて百貨店が日本の小売業のトップという時代があって、そこから量販店やコンビニ、専門店が出てきて、近年はさらにオンラインのプラットフォームが出てきました。百貨店市場の縮小は、要は百貨店が扱っていた商品群をそうした業態に取られていった、あるいは消費者がそちらを選んでいった経緯だろうと思います。当社の売り上げ、利益も短期で見ればアップダウンがあるんですが、20年間のスパンで見ればずっとダウントレンドで、緩やかに落ち続けている。
――20年間もジリ貧基調が。
澤田 百貨店の中にどっぷりいると、今年は去年より良かったとか短期で一喜一憂するので、なかなかそれが見えなかったというか、認めたくなかったというか。しかしコロナでその現実がより一層顕在化して、もはや目を背けることができなくなった。ただその一方で我々がまだ戦っていける分野があるということにも気づきましたし、当社が再成長していくためには何が必要かを考える非常にいい機会になったと思っているんですね。