目に見える機械化、ロボット化がもてはやされる時代は終わった

 2021年度はイオンリテールのデジタルトランスフォーメーション(DX)元年になる。コロナ禍によってこれまでのデジタルの取り組みが根本から見直され、手探りの中、ニューノーマルに対応する実験が矢継ぎ早に始まった20年。今期は新たに設定されたデジタル戦略の下、いよいよ実験で効果が得られた仕組みの本格導入、拡大のフェーズへと進む。システム企画本部長を務める山本実執行役員は、「目に見える機械化、ロボット化がもてはやされる時代は終わった。あるべき店舗の姿に向け、企業の根本改革をDXで推進していく」と意気込みを語る。

山本実執行役員システム企画本部長

 イオンリテールがDXを推進する目的は、突き詰めれば以下の2点に集約される。一つは顧客体験価値(CX)の向上だ。コロナ禍でお客の求めるサービスは180度転換、何よりもまず感染防止ということで、接客対応は非接触・非対面が基本となった。「これまで小売りが大切にしてきた顔と顔を合わせたコミュニケーション、手厚く親身な対応といった考え方を否定しかねない、まさにアンチテーゼ的な状況が生まれている」(山本執行役員)。こうした中で、お客に心地よい買い物体験を提供するには、デジタルの活用が不可欠というわけだ。

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