12月11日、東京都・港区の「ホテルメルパルク東京」で、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)と薬業3団体の年頭所感の発表記者会見が開催された。昨年は、新型コロナの感染拡大に伴い衛生関連商品や日用品・食品の売り上げが拡大、「2025年に10兆円」を目指すドラッグストア業界にとっての追い風となった。会見で池野隆光会長も、1年を振り返り、「コロナ禍の収束が見込めない中、生活に根差したドラッグストアは全体として好調に推移した」と評価。今後についても「生活業態としての方針を明確にした上で事業を展開することが重要」と述べ、生活支援産業としての事業展開を引き続き推進する意向を示した。また、SDGsの取り組みにも言及。昨年は法制化に先駆け、4月から買い物袋の有料化を実施し、買い物袋の排出量の大幅削減を達成した。業界全体で取り組むことで大きな成果につながることから、今後は、返品の削減、ペットボトルのリサイクル、照明器具のLED化などを進め、業界として環境負荷軽減に貢献する構えだ。

 記者会見では、昨年1年間のJACDSの取り組みの成果と、今年の計画についても発表された。昨年、国への働きかけで成果が得られたのは、「セルフメディケーション税制の利用促進」で、新年度の税制改正大綱では、適用期限が5年延長され、効果があると考えられる3薬効程度が新たに対象に加えられる。今年度は、「スイッチOTC化の促進」に力を入れる方針で、協会の「1丁目1番地」と位置づけ、引き続き国に対して働きかけていくとした。

 恒例の「JAPANドラッグストアショー」は、初めてオンラインで開催する予定で、開催期間は3月13−21日、このうち17、18日の2日間をビジネスデーとして事業者向けの取り組みを行う。どこからもアクセスできるオンラインの強みを生かし、リアルの開催では会場に足を運べなかった店舗の店長や従業員にも広く参加を求めていく計画だ。同時に、リアルの強みである出展者と訪問者の交流もオンラインの中で再現していく方針で、商品の告知宣伝に加え、サンプルの提供やセミナーの配信、チャリティー企画も準備中だという。

 昨年、JACDSは、みなし法人から一般社団法人への移行を果たした。10兆円産業を率いる業界団体として、社会的な認知も高まっている。一般社団法人化を機に、活動の幅もさらに広がることが期待されそうだ。
(写真中央が池野隆光会長、右が江黒純一副会長)