パレット管理とバース予約を一体化し業務負担を軽減

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり需要で、慢性的な人手不足に悩む物流現場は大混乱に陥った。物流現場では紙の伝票を使ったやり取りが多い上に、人に仕事が紐付く属人的な傾向が根強い。逼迫した状態を解消するためにも紙を使わない効率的な環境の整備が求められている。

 こうした状況下で、TSUNAGUTE(ツナグテ)が提供する入出荷予約受付システム「telesa-reserve(テレサリザーブ)」の利便性が一段と高まった。テレサリザーブは納品側がトラックを接車する時間を予約し、それに基づいて物流拠点や倉庫がバース(荷物の積み下ろしができる場所)を割り当てる仕組みだ。今回、ツナグテの親会社である日本パレットレンタル(JPR)のウェブ物流機器在庫管理システム「epal(イーパル)」とシステム連携し、パレット伝票の管理まで一元管理ができるようになったのだ。

 具体的な手順は、荷下ろし完了後にスマートフォンのバース予約管理画面の「作業完了ボタン」を押して次のトラックを呼ぶ準備ができると同時に、スマホのカメラが起動。パレット伝票のQRコードを読み取りパレット伝票の受払も完了する。ツナグテの春木屋悠人社長は、「新型コロナ感染予防のために紙の受け渡しはしたくないというニーズが高まっています。その点、テレサリザーブはスマホでQRコードを読み取るだけでパレット管理の伝票処理も自動的に完了できます」と強調する。

バース予約とパレット伝票の受払を同時に行える

 システム連携の背景には、パレット伝票の受領印の押し忘れや、伝票の誤記入、紛失などがたびたび発生していたことがある。春木屋社長は、「入荷側にとってパレット伝票の管理は優先度が低く後回しにされやすい。1日の終わりや1週間に1回などまとめて処理するケースも多いため、伝票の入力ミスや紛失などの問題が発生する」と指摘する。

 JPRではパレット伝票について出荷(発)側と入荷(着)側のデータを照合する「発着照合」を月間30万件実施するが、情報が一致しないときは出荷時の商品伝票などを提示して、入荷側の承認を得る確認作業が必要だ。パレット伝票の受払やバース予約の作業を同時に行うことで、パレット管理精度の向上と事務作業の軽減につながる。パレット管理との連携では、JPRのレンタルパレットのほか、出荷側の自社パレットやJPR以外のレンタルパレットにも対応していく予定もあるなど汎用性が高いのが特徴だ。

作業時のタッチ数削減がパレット管理精度の向上と事務作業の軽減につながる

 さらにイーパルの伝票電子化サービスの導入率も順調に高まっている。今年4月時点で出荷側30%、入荷側50%の電子化の導入率を今年度末までに出荷側45%、入荷側85%まで引き上げる方針だ。JPRの二村篤志取締役は、「発側と着側の両方の電子化率を引き上げ、パレット伝票をすぐに照合できる仕組みを整えることで物流現場の非効率をなくしていきたい」と意気込みを語った。

入出荷予約受付システムが100拠点で導入

 2019年7月にスタートしたテレサリザーブの導入拠点はリリースから1年で、あらたや中央物産などの大手日用品卸、メーカー、3PLなど100拠点まで拡大。利用ドライバー数は3万5000人を突破した。最近では生協の物流を担うシーエックスカーゴ、ディスカウントストアのミスターマックスなどにも広がっている。足元では花き卸最大手の大田花きとフラワーオークションジャパンの2社がテレサリザーブを導入した。トラック運転手や現場作業員、花き業者が同じテレサリザーブのアプリを使うことでバース管理が非常に楽になったという。荷受け場所も隣で近いため従来は順番待ちのトラックの長い行列ができていたが、導入によりトラックの待機時間の大幅な削減につながっている。

 ツナグテのデジタル化推進の取り組みはまだまだ続く。今後、商品の納品伝票を統一・電子化する伝票効率化サービス「telesa-delivery(テレサデリバリー)」とイーパルの連携も予定しているほか、将来的にはパレット伝票と商品の納品伝票をすべて連携させるサービスも計画している。春木屋社長は、「これまで無理を利かせてきた物流現場は、新型コロナでもはや限界に達している。事業継続の観点からも、業務を煩雑にさせる伝票関連のすべての紙ゼロを実現したい」と力を込める。デジタル化を強力に推進することで物流現場の改善に貢献していく構えだ。

紙の伝票を使ったやり取りが多い物流現場には、デジタル化推進が求められている