「このままだと秋に売るモノがない」――。今、コロナ禍に揺れるアパレル業界の現場ではこんな悲鳴が上がっている。6月以降は首都圏など大都市のショッピングセンターも百貨店も正常化に向かっており、今は夏物セールの真っ最中だが、なぜ悲鳴が上がるのか。ひとことで言えば「仕込み不足」だ。本来ならアパレルは秋販売に向け企画を立て、縫製工場などへ発注を出す。しかし、コロナ禍で今年は春夏物が売れず、秋冬物の発注キャンセルも相次いだ。弱った縫製工場は一斉に医療ガウン特需をつかもうと必死になった。その結果「国内の縫製工場は夏までは空きがない」というところが続出。もちろん海外に発注すればなんとかなるものの、弱っているアパレル側が少なくない。