2020年1月31日に英国はEUを離脱した。16年夏に行われた国民投票から3年半余り。3回にも及ぶ離脱日の延期に、離脱、残留、どちらの側に投票した国民もすっかり疲れ果て、「その時」は奇妙なほど静かに過ぎていった。
離脱日を過ぎると、停滞していた消費が「解凍」を始めた。一番手は不動産市場だった。新たな売り物件がどっと登場、そこに購入希望者が押し寄せたことで住宅インフレは2.3%に上昇した。「過去30年で最悪のクリスマス商戦」を経験した小売業も1月には売上高が1%伸長、2月にはその倍と、購買意欲が確実に上昇を開始。ECよりもリアル店舗の方が早い回復ぶりを見せた。また2月末には、製造業や漁業が衰退し廃れていた地方にある10の港が「フリーポート・フリーゾーン」(自由貿易港・地域)という特別なオフショア産業地域として再開発されることも発表された。