イオンは12月11日、米国のNGO「世界資源研究所」(WRI)の呼びかけで世界の小売企業とともに食品廃棄物の削減を目指す「10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ」(以下、イニシアティブ)の日本プロジェクトを開始すると発表した。
イニシアティブは世界の大手小売業10社が、それぞれ20社のサプライヤー企業とともに2030年までに主要サプライヤーの食品廃棄物の半減に取り組むもので、イオンは昨年9月に参画を発表していた。参画する小売業はイオンのほか、英テスコ、米ウォルマート、仏カルフールなどが名を連ねる。テスコはすでにWRIとともに先行して取り組みを行っており、イニシアティブではテスコの成功事例を共有する。日本プロジェクトではイオンの取り組みに賛同した味の素やキッコーマンなどの食品メーカー、食品卸の加藤産業といった全21社のサプライヤーが参画する。
日本プロジェクトの取り組みは、WRIが提唱する「目標設定・算定・行動」の手法で進める。具体的には、WRIがコーディネーター役となり、30年までに半減させるための自社への落とし込みやサプライチェーン全体への応用に向けた「目標設定」、基準となる年や進捗結果の算定と取組事例の共有などの「算定」、食品廃棄物削減のための活動、教育や新技術、プロセス設計などの革新を行う「行動」についてセミナーを実施。その後、具体的な行動計画を策定する予定だ。
イオンの柴田英二執行役商品・物流担当は、「50年に世界人口が100億人に達すると言われているが、現状では食料をまかなうことができない。その一方で、製造された食品の3分の1が廃棄されている」と指摘。「100億人を養う責務が食品産業にはあり、不退転の意志と決意をもってこのイニシアティブに臨みたい」と力を込める。三宅香執行役環境・社会貢献・PR・IR担当も、「テスコの事例を日本に活用して、食品ロスを少しでも減らしていきたい」と意欲を示す。
さらに、イニシアティブの目的が企業の優位性を保つためのものではなく、「世界を変えるため」(三宅執行役)であることから、他の小売業へのノウハウ提供も視野に入れている。
イオンでは25年までにグループ各社の食品廃棄物を15年比で半減する目標を掲げている。今回のイニシアティブでは食品メーカーや食品卸などサプライヤー全体が一体となった取り組みであることから、他の小売業へ波及する可能性がありそうだ。