こだわりをわかりやすく伝え毎日の食卓での利用を促す
イートアンドフーズは今秋冬より、冷凍食品の新たな戦略テーマとして「おいしさは素材から」を掲げる。同社はこれまでも原料や製法へのこだわりを積み重ねてきたが、改めて食品添加物に頼らない商品作りを開発の軸とし、消費者への訴求も強化。パッケージの「素材のおいしさマーク」をリニューアルし、商品価値が一目で伝わるデザインに刷新する。野村壮太取締役執行役員(冒頭写真左)は「冷凍食品の利用をもっと増やしていくために、我々は何を一番大切にするのか。1年かけて考え抜き、ここにたどり着いた」と語り、今般の取り組みを同社が打ち出す価値を再定義する「大転換期」と位置付ける。

背景には冷凍食品を取り巻く市場環境の変化がある。かつて保存食や時短食品として利用されることが多かった冷凍食品だが、近年は日常の食卓を支える存在へと進化している。一方で、市場に商品が増えることによる同質化の課題が浮上しているほか、「冷凍食品の存在がまだ生活から遠く、あまり買わない・敬遠される方もいらっしゃる」と商品本部マーケティング企画部の平山春奈部長(同中央)は指摘する。
イートアンドフーズの調査によると、消費者が冷凍食品に求めるニーズとして「手軽さ」「ボリューム感」に次いで多かったのが「素材のおいしさ」だった。同社は2018年頃から、顔の見える生産者との原材料作りや、味・香り・色合いに関する五つの食品添加物※を使わない商品開発を推進。特に後者は冷凍食品だからこそできる取り組みといえる。今回、素材のおいしさをさらに突き詰めるとともに、こだわりを消費者に伝えるコミュニケーション戦略も再考。新たなマークをブランドと紐づけて認識してもらうことで、「『大阪王将』の冷凍餃子の特徴といえば〝素材のおいしさ〟」の認知を醸成。新規顧客の獲得とロイヤリティの向上を目指す。
※食品添加物としての調味料(アミノ酸等)・着色料・香料・甘味料・発色剤
この戦略を体現するのが定番品のリニューアルだ。主力の「羽根つき餃子」では、羽根の素材となる穀物粉の配合を見直し、時間が経ってもパリパリ感が続く仕様へ進化。従来品比で約2倍のパリパリ感を実現した。平山部長は「羽根は当社ならではの楽しさや感動を味わってもらえるポイント。専用の測定環境を整え、数値を測りながら改善を繰り返した」と開発の舞台裏を語る。さらに具材についても工夫を凝らした。商品本部商品開発部の山本邦彦部長(同右)は「素材そのものにこだわることはもちろん、原料を混ぜる順番や時間一つ取っても、やり方を変えるとおいしさの引き立ち方が全く変わる。今回肉と野菜それぞれで最適な工程を探り、旨みや風味を高めた」と胸を張る。
また、「ぷるもち水餃子」も大きく改良を施した。白菜と生姜の使用量を増やし、甘みと香りをより感じられるレシピへ刷新。豚肉の赤身比率もアップし、旨みと食べ応えを高めた。鍋やスープに「ポンッと入れるだけ」の手軽さを改めてパッケージで打ち出し、秋冬の需要期に向け売り込みを図る。
今下期から新たに投入する商品群も素材のおいしさを意識するとともに、トレンド対応を強化した。目玉となるのが「羽根つきスパイス肉餃子」だ。家飲み需要の高まりや今秋の酒税法改正を見据え、お酒との相性を追求。ブラックペッパー・ホワイトペッパーに加え、唐辛子やガーリックなど複数のスパイス、さらに玉ねぎの自然な甘みを組み合わせ、刺激と旨みのバランスの取れた味わいを実現した。
また、大粒で食べ応えのある「肉汁大粒餃子」では、肉汁のジューシーさを高めるとともに、新たに少人数世帯向けの8個入りを投入する。今期はこうした量目対応も強化しており、「羽根つき餃子」では通常の12個入り・パーティー用の50個入りの中間となる24個入りボリュームパックを展開。「ぷるもち水餃子」も標準(15個入り)・特盛(50個入り)に加えて、30個入りをラインアップし、消費者の買いやすい選択肢を揃える。

そのほか、冷凍麺ではシビ辛トレンドを捉えた「鬼のシビ辛まぜ麺」を発売。アレンジの自由さ、スープが残らない手軽さを訴求し、若年層を中心に売り込む構えだ。
西日本エリアの供給を担う九州工場が開設
新たな取り組みは商品開発にとどまらない。今後はプロモーションにおいても冷凍食品の便利さや時短機能だけでなく、素材本来の味わいや品質へのこだわりを積極的に発信していく。10月中旬、新マークを冠した商品が売り場に並ぶ頃をめどに「素材のおいしさ」を前面にアピールするテレビCMを放映。また東京と大阪に同社初の屋外広告を掲出する。開発とPRが一体となったブランド価値向上戦略が、いよいよ本格的に始動することとなる。
さらに新戦略を支える基盤となる新工場が、今年12月、宮崎県都城市に開設予定だ。西日本エリアの餃子、水餃子などの生産拠点として位置付け、物流効率の改善や供給体制の強化を図るほか、原料の生産地に近づくことで素材のおいしさをさらに追求しやすい環境を整える。加えて、既存の群馬・関東工場に生まれる余力を生かし、新カテゴリー・新事業への挑戦も加速させたい考えだ。
直近3年間、冷凍餃子シェア1位の座を守り続けるイートアンドフーズは、素材のおいしさを軸とした新戦略で、冷凍食品全体の地位向上をも視野に入れた市場拡大に挑む。


















