商品にとどまらないソリューション提案の場
スーパーマーケットを始めとする食品小売業向けBtoBの商談展示会として長年歩んできたスーパーマーケット・トレードショー(以下SMTS)が、2027年から2月と7月の年2回開催へ舵を切る。2月は例年通りの「第61回SMTS2027」、そして7月に初開催となるのが「SMTSフレッシュ ソリューション2027」だ。
フレッシュ ソリューションは、27年7月28〜30日の3日間、千葉市の幕張メッセ1〜3ホールで開催される。農産、畜産、水産、惣菜の生鮮4品を軸に、素材や商品だけでなく、設備、サービス、DX、物流関連までを一堂に集めたソリューション提案で、売り場の質的向上を目指す新たな商談展示会となる。開催規模は、出展300社・団体1000小間、来場者は3万人を見込んでいる。来場対象はスーパーマーケットに限らず、コンビニ、ドラッグストア、食料品専門店、中食・外食産業などのバイヤー、店舗経営者、商品開発、物流担当者など、幅広い業種を設定している。

フレッシュ ソリューションは、従来のSMTSの生鮮ゾーンと、同時開催してきた惣菜の商談展示会「デリカテッセン・トレードショー」をスピンアウトし昇華させたものだ。2月が加工食品を中心に総合展示会の色を強める中で、バイヤーをはじめとする来場者に、食品小売業にとって一番の強みである生鮮・惣菜の提案を別会期でじっくり見てもらう狙いがある。加えて2月は季節柄、出展者は春夏向けの商品提案が中心となるが、7月末であれば秋冬の提案がメインとなる。年2回の開催により、来場者に年間を通じた提案が可能になるというわけだ。
来場者の課題解決に重点を置く
フレッシュ ソリューションの最大の特徴は、商品を起点とした従来型の商談とは一線を画し、来場者の〝課題解決〟に重点を置いていることだ。
出展対象カテゴリーは、「農産」「畜産」「水産」「惣菜」の生鮮4品をはじめ、「地方地域・地域ブランド」、業務用調理機器や冷蔵・冷凍機器などの「設備・資材」、DXや物流関連の「サービス・IT支援・ロジスティクス」、生鮮4品の全てを網羅した生鮮流通の総合提案「トータルソリューション」の八つとなる(図参照)。主催する全国スーパーマーケット協会事業本部の高野浩彰氏は、「本展では、旬の季節を外れた生鮮品でも、商品(現物)がなくともパネルや動画などを用いて商談することも可能です。食品小売業の売り場やバックヤードのどこに課題があり、自社の技術やサービス、商流・物流機能がどのような解決の糸口になるのか。そういった売り場の課題解決の提案の場としてぜひご活用いただきたい」と語る。

食品小売業にとって、惣菜を含む生鮮品の重要性は増す一方だ。コンビニ、ドラッグストア、ディスカウントストアなど、スーパーマーケット以外の業態が軒並み取り扱いを強化しており、対するスーパーマーケットもさらなる魅力の向上が欠かせない。惣菜だけとれば、外食との競争も激しさを増している。
特にスーパーマーケットでは売り場の約半分を生鮮4品が占めており、新たな売り場提案が求められている。例えばドレッシングやたれなどの調味料メーカーは、既存のグロッサリー売り場だけでなく、農産、畜産、水産売り場での関連販売を提案する好機だ。逆に生鮮素材を加工品や惣菜へ展開する企業にとってもビジネスチャンスと言える。
それだけではない。生鮮品のバイヤーにとって切実なのが調達ルートの確保だ。気候変動や自然災害で露地野菜や水産物は品質と収量が安定しにくくなっており、輸入品は円安や海外での買い負けにより調達コストも上昇している。「従来は取引先にお願いすれば必要量を確保できた商品でも、今は新たな産地や取引先を自ら開拓しなければならなくなっています。人手不足の中、小売業が全国の供給者を個別に訪ねるのは容易ではない。生鮮に特化した本展は、短期間に多様な選択肢と出会える効率的な商談の場となるはずです」と高野氏は語る。
スーパーマーケットの顔である農産では、露地栽培だけでなく、水耕栽培やカット野菜、加工品までを含めた企業や農業法人などの出展を見込んでいる。畜産では豚肉や鶏肉の価格上昇が続く中、日常使いできる手頃なブランド肉や海外産を含む新たな供給先企業の出展を見込んでいるほか、馬刺しのブランドメーカーなど、こだわり商品の出展も予定。海外からは農産でオセアニア、畜産ではアメリカなどが決定している。
水産では海面・陸上養殖が重要なテーマとなる。近年、天然物の水揚げが減る中で、スーパーのバイヤーにとっては盆や年末年始などの需要期にいかに一定品質の刺し身や寿司ネタを確保できるかが肝となる。そこで注目を集めているのが養殖だ。協会事業本部の小柳勇人氏は「養殖は天然物の不足を補う安価な代替品と捉えられがちですが、飼料費、人件費、水温上昇への対応などでコストは増しており、むしろ各産地では美味しさと品質の安定、ブランド価値で勝負しています。来場者の皆様にはぜひ注目していただきたい」と力を込める。
またスーパーマーケットでは青果やレジ部門での取り扱いが多い「花き」にも光を当てる。スーパーマーケットは、切り花の買い場で町の花屋に次ぐ売り上げ規模を誇る。それだけ重要な買い場となっている一方、店舗によってはまだ仏花が中心となっていることから、協会側はテーブルフラワーなどの需要の取り込みに伸び代があると判断。また来年は横浜で「国際園芸博覧会」が開催されるなど、花への関心が高まることが予想されることから、フレッシュソリューションでは、花瓶など花と雑貨のセット提案や、花の長持ち方法を動画で伝えるなど、売り場提案の企画を検討している。
惣菜PCを会場に再現し人と機械共生の課題を考える
惣菜分野では、これまでのデリカテッセン・トレードショー以上の出展が見込まれる。原料メーカーや設備機器メーカー、業務用ベンダーなどが、製造現場から売り場づくりまでを幅広く提案する予定だ。
中でも今回の目玉企画の一つが、日本惣菜協会の協力による、惣菜プロセスセンター(PC)の再現だ。日本惣菜協会は経済産業省の事業として、計量や盛り付けなど、惣菜製造工程のロボット化に取り組んでいる。展示会では約15社の最新機材を展示会場に設営することで、一連の作業の流れを具体的に示す考え。
協会事業本部の富張哲一朗部長は「食品の自動化は工業製品のようにはいきません。粘りや柔らかさがある食材の盛り付けはロボットアームでは扱いにくい。そこを人と機械でどう分担していくか。また導入に当たっては安全の確保も課題です。実際の作業工程を再現し、人と機械の共生の中で生まれてくる新しい課題を考える機会にしていただきたい」と語る。
デリカテッセン・トレードショーの目玉企画であった「お弁当・お惣菜大賞」にも注目だ。27年からは年2回の開催に変更。2月のSMTSでは弁当、惣菜、サラダなど従来の部門別アワード、7月は「ポテトサラダ」「ご当地」「地産地消」「産学官連携」「フローズンデリ」「フローズン弁当」「健康長寿」「食生活デザイン」の8テーマを対象にした、テーマ別アワードを行う。
これらは商品のカテゴリーだけでなく、開発背景や社会的課題、食生活への提案を評価するのが特徴だ。販売中の商品に加えて開発中・コンセプト段階の商品も対象とし、最優秀賞の表彰式や受賞商品の展示を会場で予定している。

サプライチェーン戦略はSPAにも発展する
生鮮4品のサプライチェーン全体の戦略構築を考える上でも、フレッシュ ソリューションは有意義なものと言える。自社製造の惣菜や生鮮の加工品がスーパーマーケットの差別化の鍵となる中で、肝となるのが川上の生産者(産地)→物流センター・PC→店舗の一連の流れを結ぶ物流だ。
同展では、単なる物流サービスの紹介にとどめず、サプライチェーン全体のどの部分に各社が強みを持ち、どのような課題を解決できるかを可視化する企画を検討中だ。「構想段階ではありますが、来場者は可視化されたパネルを手掛かりに、自社の課題に合う出展ブースを見つけられるようにしたいと考えています」と小柳氏は語る。
小売業はセンターから店舗までの物流に目が行きがちだが、「今後は生産地から最初の集荷拠点までの『ファーストワンマイル』にもぜひ注目していただきたい」と高野氏は語る。例えば狭い農道であったり、小ロットであるために大手物流事業者が集荷できず、生産者が販売機会を失うケースがある。そこで地場の物流会社が農産物を集め、選別・加工して都市部の小売店へ届けるといった仕組みや、商品供給と物流機能を併せ持った企業の提案は、生産者にも小売業にも新たな可能性を拓くことにつながる。そうしたパートナーと組むことができれば、生産、加工、販売を一体で組み立てるSPA(製造小売り)にビジネスを発展させることにもつながる。
同展の会期以外の施策では、業界の情報発信サイト「SMTSオンライン」を立ち上げている。直近の登録者数は10万人を超え、SMTS来場者をはじめ、食品小売業のバイヤー・経営幹部、メーカー・卸など幅広い食品流通関係者に利用されている。
扱うテーマは、業界の基礎知識、環境・物流、人材活用・育成、DX・AI、商品開発、MD・売り場など多岐にわたる。中でも直近では、「農産物におけるSPAモデルの可能性」「スーパー惣菜50年史」など、生鮮・惣菜の将来を考える連載や動画を積極的に発信している。いずれも同展のテーマとも密接にかかわる内容で、今年7月には、翌年の展示会に先駆けたオンラインセミナー「SMTSフレッシュ ソリューションオンラインフォーラム2026」も開催した。

全国スーパーマーケット協会は、2月と7月の年2回開催により、来場者である食品小売業や中食・外食のバイヤーに対し、選択肢の幅を広げていきたい考え。出展応募は11月30日まで受付中だ。

















