ベトナムは世界有数のコーヒー生産国である。同時に、カフェが人々の生活に深く根付いた国でもある。ベトナムでは、カフェは人と会い、勉強や仕事をし、思い思いの時間を過ごす社会的な空間として機能している。日本でも、昔ながらの喫茶店やドトール、スターバックスなどが同様の役割を果たしてはいるが、数の多さと多様性、利用頻度はベトナムの方がはるか上をいく。

 ベトナムのカフェ市場を理解する上で重要なのは、個人経営のカフェが多数を占めている点である。正確な統計はないが、全国には数十万軒規模のカフェが存在すると推計されている。その大部分は家族経営や小規模な店舗である。街角の歩道に低いプラスチック椅子を並べた路上のカフェは、ベトナムの日常を象徴する風景の一つにもなっている。そこでは顔馴染みが毎日のように立ち寄り、新聞を読み、世間話をする。安価なコーヒーと交流の機会を提供しているこれらの小規模カフェは、生活インフラに近い存在ともいえるだろう。

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