イオンは5月29日より、山田水産が生産した完全養殖うなぎの蒲焼きの試験販売を、グループのECサイトにて数量限定で始めた。完全養殖うなぎの販売は世界初となる。

完全養殖のうなぎを試験販売する

 うなぎの完全養殖とは、親うなぎから卵を採り、人工ふ化・稚魚の育成・生産・出荷までを閉じたサイクルで人為的に行うことを指す。野生の稚魚であるシラスウナギを使わず、卵から成魚まで完全に人の手で育てる方式だ。

 これまでうなぎの養殖は、天然のシラスウナギに依存しており、資源量の変動や環境変化の影響を受けやすく、安定供給体制の確立が課題となっていた。

 この量産化を成功させたのが、国立研究開発法人水産研究・教育機構(水研)と山田水産だ。まず水研が中心となり、2010年に卵から育てたうなぎが再び卵を生むことに成功。山田水産は2018年に水研から研究技術を共有してもらい、さらに研究を進めてきた。一つの水槽でうなぎのメスから30万粒の受精卵が生まれ、それがシラスウナギに育つのが約1000~1500匹だという。

 完全養殖は長年困難な研究とされてきたが、現状の成果に至ったポイントとして、山田水産の山田信太郎社長は、「シラスウナギに育つ過程で食べさせる餌の開発と、きれいな水の育成環境がブレークスルーにつながった」と明かす。

完全養殖のサイクル
受精卵から生後200日後のレプトセファルス
それがシラスウナギ(稚魚)へと育つ
育ったうなぎ

 山田水産は、2002年にトップバリュグリーンアイの抗生物質不使用・合成抗菌剤不使用うなぎの養殖を日本で初めて成功させるなど、イオンとの取り組みを深めてきた。

 今回の試験販売では、販路を「グリーンビーンズ」(イオンネクストが運営)と「イオンショップ」(イオンリテールが運営)の二つのECサイトに限定。蒲焼きは1尾131g税別4500円からで、購入者には価格などに対するアンケートも行う。

 イオンの土谷美津子副社長は、「今回、完全養殖うなぎの途中段階の成果をお客様に届ける接点として、一般販売向けの試験販売に参画させていただいた。アンケートで得られた意見を今後の取り組みに反映していく。合わせて持続可能な水産物の取り扱い方針も改定し、人口種苗由来うなぎの普及に積極的に協力していくことを明確にした。天然資源への依存を減らしながら、将来に向けて持続可能な供給体制を考えていくことは水産業全体にとっての重要なテーマ。イオンとして販売協力企業という立場からこの取り組みをしっかり社会に伝えていきたい」と語った。

 山田水産の山田社長は「今回の試験販売はゴールではなくスタート。今後の課題はさらなる量産化で、今ある12基の水槽を45基まで増やし、2028年には10万匹のシラスウナギが生まれるようにしていく。うなぎ育成の現場は夏は暑くて冬は寒い。そんな中で頑張ってくれている従業員が夢や誇りを感じてくれたら」と力を込めた。

(冒頭写真・右からイオンの土谷美津子副社長、山田水産の山田信太郎社長)