1964年の第1回から60回目の節目を迎える

 全国スーパーマーケット協会は、「第60回スーパーマーケット・トレードショー(SMTS)2026」を2026年2月18~20日の3日間、千葉市の幕張メッセ全館で開催する。

 1964年の第1回以来、今回で60回を迎えるSMTSは、スーパーマーケットに関わるさまざまな業種が集うBtoBの商談展示会だ。食品・日用品メーカーから卸、資材関連、店舗開発、情報サービス系企業、さらに官公庁や地方自治体などが出展する。毎回、小売業を中心としたバイヤーが多数来場し、新たなビジネス開拓の場や業界の最新トレンドが収集できる場として長年支持を集めてきた。

 止まらない物価高や人手不足に加え、ディスカウントストアやドラッグストアなどの異業種参入による競争激化など、スーパーマーケットの事業環境は依然として厳しい状況にあるだけに、商談展示会に対する期待は大きい。

 SMTS2026には2157社・団体、3689小間(25年11月1日現在)の出展が予定されている。中でもSMTSの目玉の一つである地方・地域産品ゾーンは、都道府県ブースを含めて1400社以上の地方メーカーが出展。同時開催展も合わせると47都道府県全ての名産品に触れられるまたとない機会となる。さらに、海外からは17カ国、102社・団体、140小間の出展を予定している。

SMTS・DTS2025合同開会式の様子

需要拡大を受け「冷凍」ゾーンを常設に昇格

 SMTSと同時開催は、同じく全国スーパーマーケット協会主催の「デリカテッセン・トレードショー(DTS)2026」と、食品産業センター主催の「第21回こだわり食品フェア2026」だ。会場となる幕張メッセ全館のうち、1~8ホールがSMTSの「生鮮」「加工食品」「菓子・スイーツ」「飲料・酒類」「冷凍」「設備・資材」「店舗開発・販促」の各ゾーンとDTS。9~11ホールではSMTSの「地方・地域産品」ゾーンと、こだわり食品フェアで地域の豊かな食を提案する。

 展開ゾーンの中でも注目は、今回〝常設〟に昇格させた「冷凍」ゾーンだ。スーパーマーケットの冷凍関連売り場の拡大と売り上げ増、時短・簡便ニーズの高まりを受け、前回までの「食のトレンドゾーン」の一企画から、常設ゾーンとして規模を拡大した。各ゾーンの出展申し込みのうち、冷凍ゾーンは前回比27.7%増と大幅に増加しており、出展者側の盛り上がりの高さがうかがえる。

 また、冷凍ゾーンの新設にあわせて、主催者企画として、ご当地の食材・メニュー・食文化を生かした冷凍食品「ご当地冷凍食品」の展示コーナーを展開する。ご当地冷凍食品を審査・表彰する「ご当地冷凍食品大賞」主催・一般社団法人未来の食卓が協力し、1月に発表予定の「第2回ご当地冷凍食品大賞」受賞商品の紹介や、SMTS出展者のご当地冷凍食品のピックアップ展示を行う。全国スーパーマーケット協会の吉沢敦SMTSチームリーダーは、「ご当地冷凍食品の集中展示と情報発信コーナーを設けることで、新たな冷凍食品を発掘していただきたい」と期待を込める。

需要の高まりを受け「冷凍」ゾーンを常設に昇格させた

 主催者企画でもう一つ注目されるのが、60回目の開催を記念した特別展示「SMTS60回の歴史と未来展」だ。1964年開催の「セルフサービスフェア」からスーパーマーケットと食品流通の60年間の歩みを紹介するほか、流通科学大学の協力でスーパーマーケット黎明期の貴重なレジスターなどを展示する。

 主催者企画の「セミナーステージ」では、2月18日の合同開会式後に恒例の「SMTSスピークス」が予定され、横山清会長が「第二次流通革新〜3つの新〜・新インフレ・新参入・新価格体系」をテーマに講演する。スーパーマーケット白書2026関連では、「国内経済の現状と今後の見通し」「2025年の消費トレンド」などスーパーマーケットにとって重要なテーマの講演も用意する。

第60回の横山清会長スピークスのタイトルは「第2次流通革新 〜3つの新〜・新インフレ・新参入・新価格体系」(写真は前回の様子)

 全国スーパーマーケット協会の会員小売業と、ソリューション企業が共創しながら未来のスーパー像を研究するプロジェクト「Future Store “NOW”」は、2050年を見据えて地域スーパーマーケットが注力すべき10のテーマについてセミナーを行う。「第8回スーパーマーケットにおける改善活動成果発表大会」(スーパーマーケットにおける品質改善成果発表大会から改称)は、アクシアル リテイリングやハローデイ、フレスタホールディングス、ライフコーポレーションなど9社の取り組み発表が予定されており、改善活動の参考事例として、こちらもぜひチェックしておきたい内容だ。

前回の「Future Store “NOW”」セミナーステージの様子

 全国スーパーマーケット協会が一昨年開設したロジスティクス担当役員のCLO(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)養成講座関連では、セミナーステージにて「食品小売物流最前線〜新物効法施行で見えた実態と展望〜」と題し、CLO養成講座の講師をはじめ、有識者、関係省庁の担当者などが登壇。小売業の物流改善の取り組み事例をパネルディスカッション形式で紹介する予定だ。

 継続企画では、ジェトロ(日本貿易振興機構)が、日本産食品に関心を持つ海外バイヤーと出展者の個別商談会を開催。前回を上回る18名の海外バイヤーが来場予定で、出展者に日本産食品の海外販路開拓の機会を提供する。

 来場前にチェックしておきたいのが、SMTS・DTSの出展商品を検索できる出展者・商品検索システム。25年12月12日から公開されており、約5800品(前回実績)以上の出展商品の中から、よりターゲットを絞り込んだ検索が可能で、バイヤーの効率的な商談を支援する。

「お弁当・お惣菜大賞」の弁当部門に健康長寿賞を新設

 中食の商談展示会「DTS2026」では、デリカに関する企業・団体がブースを出展する。恒例企画の「お弁当・お惣菜大賞2026」は、日本全国からエントリーされた弁当、惣菜、サラダ、麺、丼、おにぎり、寿司、パン、スイーツに加え、定番商品としてコロッケの10部門の中から優れた商品を選出するアワードで、今回は1万5489件がエントリー。これまで各部門で「最優秀賞」「優秀賞」「特別賞」「入選」の四つの賞を設けてきたが、今回から弁当部門で「健康長寿賞」を新設。栄養バランスやカロリー、塩分量に配慮しているほか、豆やごま、わかめ、野菜、魚、しいたけなど健康的な食材を使用していることなどを基準に審査する。会場内で表彰式や受賞商品の展示を行うほか、受賞商品の一部はフードコートで販売・喫食する機会も設ける。

開催初日の2月18日、「お弁当・お惣菜大賞2026」最優秀賞の表彰式が執り行われる(写真は前回)

 また店内調理の導入提案として、スチコンを使った料理を来場者に実際に食べて体験してもらう「食べくらべ体験STAND」を開設。今回はコメの価格高騰から調理する機会が増えているパスタメニュー3種類を実演する。さらに恒例となったデリカに関する情報をまとめた冊子「惣菜デリ最前線2026」の無料配布も実施する計画だ。

DTSのブースでは「お弁当・お惣菜大賞2026」受賞商品をパネルで紹介。フードコートでは一部商品を実際に購入して食べることもできる

 SMTSが60回を迎えたことを一つの契機として、全国スーパーマーケット協会は27年から、SMTSを2月と7月の年2回開催に移行する。従来のSMTS・DTSから、生鮮3品と惣菜(DTS)を7月の展示会に移行させ、代わりに2月は生鮮以外の食品と設備・資材および店舗開発・販促ゾーンを広げる。情報サービス系や店舗運営・管理、省人化に関する出展ニーズの高まりから、今後のスーパーマーケット運営についてのソリューションを強化、経営者層や管理部門関係者の来場促進を図る。

 一方、7月の展示会は新たに「SMTSフレッシュソリューション」として開催する。幕張メッセ1~3ホールを使用し、生鮮3品と惣菜売り場の食品や設備、情報サービス、包装資材などを扱う。吉沢チームリーダーは「多くの生鮮惣菜のバイヤーに来場いただき、商談する機会を増やしたい」と力を込める。

 スーパーマーケットを取り巻く環境は変化を続けており、取り組むべき課題は依然として多い。業界の行く末を見定め、事業が成長を続けていくためにもSMTSの果たす役割はますます大きくなりそうだ。