広報の機能は対外発信のみにあらず。人的資本経営が重視される中、広報から従業員に対して行う社内コミュニケーション=エンプロイーリレーションズの重要性が高まっている。本連載では広報のエキスパート、上岡典彦氏を「講師」に招聘し、誌面レクチャーを通して、経営に効く実践的な広報活動のあり方に迫っていく。
愛着や一体感は「頭で考えて得られない」
広報・PRの歴史を紐解くと、ラジオメディアの力を活用した政治家として2人が登場します。1人はアドルフ・ヒトラー。1933年の選挙にあたり、ラジオ演説を通じて民衆を巧みに誘導しナチ党は高得票を得ました。もう1人は、米国第32代大統領のフランクリン・ルーズベルト。1929年の世界大恐慌後、経済復興策に対する国民の理解を得るために、彼は自宅の暖炉の前にいるような口調でプライベートなことや愛犬の話をしながら語りかけました。いわゆる「炉辺談話(Fireside Chats)」です。ちなみにテレビを有効活用したのはケネディ大統領。現在の大統領はと言えばこれはSNSですね。


















