英国のディスカウントスーパー、リドルGBは会員向けアプリ「リドルプラス」を通じて店頭発売前の商品を予約し、指定店舗で受け取ることができる新サービス「クリック・リザーブ&コレクト」を試験導入する。対象期間は4月7日から13日までで、予約できる商品は「ミドル・オブ・リドル」枠の新製品「パークサイド・ロボット芝刈り機」と専用ガレージである。

 利用者はアプリ上で受取店舗を選択し、4月16日から19日の間に商品を受け取れる。店頭販売開始は24日であり、最大2週間前に入手が可能となる仕組みだ。ロボット芝刈り機のリドルプラス価格は199ポンドで、同等性能をうたうNB製品より150ポンド以上安い。ガレージは24.99ポンドで提供され、在庫がなくなり次第終了となる。

 ロボット芝刈り機は刈幅18cm、最大稼働面積500㎡の庭園を自動走行で手入れする仕様で、雨天時停止機能や盗難防止用PINコードも備える。ガレージは耐候性プラスチック製で、充電ドックとしても機能する。

 今回の試験導入は、アプリのユーザビリティ向上と需要予測精度の検証を目的とする。予約データを事前に取得することで、店舗在庫の最適化と廃棄ロス削減が期待される。また、来店前に購入が確定するため、レジ混雑の緩和や顧客体験の向上にも寄与すると考えられる。

 また、「ミドル・オブ・リドル」とは、週替わりで日用品やDIY機器などを数量限定で販売する企画棚である。食品以外の商品を低価格で提供し、来店動機を高める役割を担ってきた。今回の予約サービスは需要を事前に把握し、在庫切れによる機会損失を緩和する狙いがある。

予約機能で競合他社と差別化

 英国の小売業界では人手不足と物流コストの上昇が課題である。クリック・リザーブ&コレクトは店舗在庫を圧縮しながら売り上げを確保できるモデルとして注目される。食料品小売市場でもオンライン注文と店舗受取を組み合わせたハイブリッドモデルが拡大している。リドルGBは「予約」という要素を追加し、ディスカウンターとしての低価格と限定商品へのアクセスを両立させる差別化策を打ち出した格好だ。

 リドルGBは2020年のリドルプラス開始以来、アプリ機能の拡充を進めてきた。現在、世界で1億人超のユーザーを擁している。リドルプラスの会員登録は無料で、クーポン配信やレシートのデジタル保存などが利用できる。今回の試験は既存機能に「事前予約」を追加した形で、操作性はクーポン取得と同様に統一されている。