メトロの自社ブランド(PB)の成長が続いている。2024年度の前半5カ月で売り上げシェアは24.8%となり、前年同期比で2ポイント増加した。特にスペイン、イタリア、ポルトガル、クロアチア、フランスの5カ国では、自社ブランド売上シェア30%以上を達成している。

 スペインは38%以上のシェアでトップとなっており、他の4カ国も2024年第1四半期に初めて30%を超えた。メトロのお膝元であるドイツでもPB売り上げが増加しており、追随する勢いを見せている。

 PB売り上げの中心となっているのは、「メトロシェフ」「メトロプロフェッショナル」「アロ」の3ブランドで、メトロ全体のPB売り上げの約80%を占めている。特に「メトロシェフ」は食品カテゴリーにおけるAブランド品質を持ち、「メトロプロフェッショナル」は非食品や調理器具を中心に展開している。「アロ」は、ケータリングにおける基本的ニーズを満たす商品群であり、コストパフォーマンスの高さが特徴だ。

“食のプロ”に向けた商品開発が高品質を担保

 メトロAGのドクター・ステファン・グロイベルCEO(最高経営責任者)は、PBが「エスコア・ホールセール戦略」の中心的な柱であるとしている。PBをプロフェッショナル顧客のために特別に開発し、品質とコストパフォーマンスのバランスを重視している。

 ホスピタリティ業界全体でコストが上昇する中、PB製品が提供する信頼性と経済性は顧客にとって大きな魅力で、「過去2年間でPB売り上げを20億ユーロ以上増加させた実績があり、エスコア導入以前の売り上げシェア16%から、現在ではほぼ25%にまで増加した。2030年までに35%以上の達成を目標としている」(グロイベルCEO)。

 メトロのPB売り上げの成長を牽引しているのは、ホテル、レストラン、ケータリング(ホレカ)顧客である。食品カテゴリーにおける「メトロシェフ」は、食材の品質が重視されるホスピタリティ業界で重要な役割を果たしている。非食品カテゴリーの「メトロプロフェッショナル」は、調理器具や厨房用品を提供し、耐久性や性能面で評価されている。

 また、フードサービスデリバリー(FSD)は、メトロの成長戦略における重要な要素であり、特にガストロノミー向けデリバリーが売り上げ成長の柱となっている。PB売り上げ成長率は前年同期比で20%以上となり、特にフレッシュおよびウルトラフレッシュカテゴリーが好調である。

 肉や魚といった生鮮品が中心となり、乳製品や冷凍食品も安定した需要を示している。冷凍カテゴリーは、PB売り上げ全体における最大シェアを持ち、非食品カテゴリーの調理器具やキッチン用品がそれに続く。

 PB製品は、製造前に品質保証チームとプロのシェフが共同で試食およびテストを行い、プロフェッショナルキッチンに最適な品質を確保している。製品は定期的に見直され、顧客ニーズに応じて改良が加えられている。