英国の大手スーパーマーケット、テスコが新たな店舗コンセプトを導入し、お客に医療サービスを提供する。店舗内の専用ヘルスゾーンで診療からアドバイスまで多様なサポートを展開。お客は買い物をしながら医療サービスを利用できる。

 試験店舗での運用が始まっており、チェスハントのガソリンスタンド併設店「チェスハント・エクストラ」を改装し、専用ヘルスゾーンが設置されている。食品やウェルネス製品の購入だけでなく、健康に関するアドバイスや診療、仮想GP(一般診療)の予約が一つの場所で可能となっている。

英国を代表する医療企業と提携

 テスコは、プライマリーヘルスケアを提供するブーパと提携し、仮想GP診療、体重管理サポート、耳垢除去などの医療サービスを、健康保険やブーパの会員資格がないお客にも提供する。また、オンライン更年期診療所のステラとも提携し、更年期に関する症状のアドバイスやホルモン補充療法(HRT)のサポートを対面で受けることができるようになった。

 さらに、アワ・フューチャー・ヘルス(Our Future Health)とも協力して、英国最大の健康研究プログラムに参加できる機会を提供している。これは公共、慈善団体、民間セクターが共同で進める取り組みで、参加者は血圧やコレステロール値など自分自身の健康について学びつつ、新たな健康に関する発見に貢献できる。

 このほか、「センソダイン」「コルソディル」「アクアフレッシュ」などのオーラルケアブランを持つヘリオンによる口腔衛生の無料相談も可能で、資格を持つオーラルヘルスエデュケーターから口腔ケアに関するアドバイスを受けられる。アプタクラブとの提携では、乳幼児の栄養や妊娠・出産に関するアドバイスが得られる。妊娠期や育児に関する様々な疑問や悩みに対して、医療専門家が個別にアドバイスを行う。さらに英国心臓財団(BHF)と提携して、心臓の健康に関するアドバイスも行っている。

来年以降、英国全土に拡大する可能性

 テスコは2025年にはノーサンバーランド州のヘクサムと、ウエスト・サセックス州のウエスト・ダーリントンの店舗にも、この医療サービスを導入予定で、試験が成功すれば全国的に展開される可能性もある。

 テスコは現在、英国国内の365店舗でインフルエンザ予防接種、血圧チェック、がんや心臓病、糖尿病に関するアドバイスなどを含む医療サービスを提供し、毎週50万人以上のお客に利用されている。

 テスコの最高商業責任者(Chief Commercial Officer)であるアシュウィン・プラサド氏は「健康な生活は良い食事から始まるが、それだけでなく、早期に適切なサポートとアドバイスを受けることが重要だ。テスコは英国全土の店舗ネットワークを通じて、食事と医療の両方を顧客が利用しやすくし、NHS(国民保健サービス)の負担軽減にも貢献する」と述べている。