イオンはPB「トップバリュ」の価格訴求を強化する。10月末までに頻度品約100品目を増量し、数量限定で発売。また、11月中旬からは一部商品を値下げする予定だ。いずれもイオングループの全国約1万4000店舗で実施する。

 増量の一例として、トップバリュベストプライスの「つぶあんぱん」などパン3種類を本体価格128円は据え置き、中身を5個から6個に増やす。同じくベストプライスの「お好み焼粉」「たこ焼粉」は従来の500グラムから550グラムに増やして、本体248円は維持する。いずれも価格が変わらないため、実質値下げとなる。

 原材料価格や人件費など生産コストがかさむ中、イオンでは生産や物流の体制を見直すことで合理化を進めている。個包装が当たり前だったスープのパッケージをチャック付き大袋に変更したり、製造拠点を全国に複数設置することで輸送距離を短縮したりして、コスト削減を実現した。

 さらに、この秋以降、ベストプライスから新商品350品目、リニューアル150品目の計500品目を順次発売する予定だ。

 10月22日に行われた記者発表会で、イオントップバリュの土屋美津子社長(冒頭写真右)は「実はこれ以上価格を下げるのは難しいんじゃないかとあきらめかけていたが、実際に店頭に行くと、特に今年になってから、買うか買わないか迷っているお客様が非常に増えてきた。たとえば、お米の前でずっと佇んでいらっしゃったり。そういった声を従業員からも多く聞くようになり、まだできることがあるんじゃないかと考えた」と取り組みの背景を明かした。

 トップバリュは今年に入って累計79品目で値下げしており、いずれも売り上げが伸長。68円から55円に値下げした緑茶は2.2倍、278円から258円に値下げした冷凍たこ焼き、10円値下げしたマヨネーズは、いずれも1.4倍に伸びた。

 また、増量は累計92品目で実施しており、10グラム増やしたナッツは5.2倍、中身を4個から5個に増やした菓子パン類は1.7倍、ビスケットも2.4倍と効果は高い。

 「お客様は値下げに対して非常に敏感に反応されている。増量は期間限定の施策だが、ここまでお客様に響くということは、今の時代に求められていることだと思う」(土屋社長)

 また、イオンは10月24日から住居余暇のPB「ホームコーディ」26品目でも値下げを開始。ポットや敷きパッドなど冬に向けて需要が高まる商品を厳選し、約300店舗およびイオンスタイルオンラインで実施する。