イトーヨーカ堂は、9月1日から都内全店舗でリターナブルな専用容器を用いた家庭系廃食用油の回収を開始する。
同社は、昨年2月、「イトーヨーカドーネットスーパー西日暮里店」で、ネットスーパーを活用した家庭系廃食用油回収の実証実験を開始。その後、東京都と廃食用油回収促進に関する協定を締結するとともに、都内の3店舗に回収拠点を拡大、さらに、昨年12月にはヨーク店舗での回収も始めた。9月1日からはこの取り組みを都内のヨーカドー全店舗(ヨーク1店舗を含む)に拡大する。
回収方法は、以下の通り。まず、お客は、各店舗のサービスカウンターで専用容器を受け取り、それに自宅の廃食用油を入れてサービスカウンターで店員に渡す、もしくは専用の回収器に入れる。集まった廃油は、リサイクル企業の吉川油脂が回収し、石鹸やインク溶剤などの製造に再利用する。
回収容器は、特殊化学製品などの販売を手掛ける野村事務所が開発したもので、吉川油脂が洗浄し、再度店舗に配布することで、容器の廃棄も防げる。
家庭系廃食用油の回収はこれまでも自治体などが取り組んでいるが、目立った成果は上がっていない。吉川油脂によれば、現在、年間40万tに上る事業系廃食用油の95%はリサイクルされているが、年間10万tの家庭系のリサイクル率は5%に留まっているという。
その点について、吉川油脂の吉川千福代表取締役は、「我々の調査では、スーパーでの回収量は、行政の回収量の10~13倍に上る。市役所にわざわざ持って行く時間は取れなくても、スーパーなら買い物ついでに持っていけるので回収率は高まる」と強調。イトーヨーカ堂サステナビリティ推進部の小山遊子総括マネジャーも、「スーパーには、買い物ついでにトレイやペットボトルをリサイクルに出す文化がある。廃食用油でもその取り組みを進め、飛躍的に回収率を上げたい」として、取り組みに意欲を示した。
イトーヨーカ堂は 今年8月時点で、専用リターナブルボトル約5400本相当の家庭系廃食用油を回収している。同社では、2025 年度までにイトーヨーカドーとヨークの全店舗に回収拠点を拡大し、累計25tの回収を目指す計画だ。また、将来はENEOSが製造する持続可能な航空燃料(SAF)の原料として供給することも視野に入れている。