公正取引委員会は5月22日、生活協同組合コープさっぽろに対して、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)の違反行為で勧告を行った。

 コープさっぽろは、下請事業者に対して「自らの店舗等で販売等を行う食料品等の製造」「顧客から請け負う商品等の配送」を委託しているが、2021年8月から24年4月までの間、下請事業者27社に対して合計2537万4079円を下請代金から減らして支払っていたという。2年半以上にわたって減額されていた内訳は「月次リベート(約2322万円)」「システム利用料(約127万円)」「協賛金年契リベート(47万円)」「達成割戻金(35万円)」「支払通知作成料(約7万円)」

 これを受けて、公取委はコープさっぽろに対して、「今後、減額を行わないこと等を理事会の決議により確認すること」をはじめ、「法務担当者による下請法の遵守状況についての定期的な監査」「役員及び発注担当者に対する下請法遵守のための定期的な研修「下請法の適用対象となる取引を適切に管理する体制を整備し、その運用を適切に行うこと」を勧告した。

 コープさっぽろの発表によると、下請事業者から受け取った割戻金等の一部が下請法の規定に抵触し、すでに全額を返金したという。また、下請事業者から割戻金等を受け取る運用を廃止した。公取委からの勧告について「本勧告を受けるに至った事態を大変重く受け止めている」「下請法を始めとする法の遵守について、改めて役職員一同再認識・再自覚するとともに、役員及び下請法の適用対象となる取引に関わる職員への教育、再発防止のためのシス テム面での仕組みづくり、体制の整備、点検の強化など、取引の適正化に取り組んでいく」としている。

 ただし、コープさっぽろは12年にも「月次リベート」および「協賛金年契リベート」を減額したとして、公取委から下請法違反で勧告を受けており、その後も取引の管理体制の整備や運用を適切に行っていなかったことが明らかとなった形だ。また、同じ違反行為で二度目の勧告を受けるのは全国で初めての事例となる。