伊藤忠食品の2023年度第2四半期決算は、増収増益で着地した。売上高は前年同期比104.0%の3389億円、営業利益は同126%の43億円、当期純利益は、同123%の35億円。人流の回復や夏の猛暑の影響で需要が拡大、「原料価格の高騰などによる値上げから買い控えもあった中でも、取引の拡大などにより、上期は想定を上回る進捗だった」と岡本均社長は評価した。

 商品別の売上高は、ギフト以外の全カテゴリ―が増加。とくに、嗜好品・飲料は行楽需要やイベント開催が旺盛となったほか、猛暑の影響や取引拡大もあり、80億円増と大幅増で全体の伸びを牽引した。調味料・缶詰、和洋酒、冷凍・チルドがこれに続いた。

 業態別では、百貨店以外すべてが拡大、とくに出店を加速するドラッグストアの伸びが最も大きく、これにCVS、GMS・SMが続いた。GMS・SMでは、物価高騰が続く中、PBへシフトする動きも見られたが、取引量の拡大で単価の下落分をカバーした。

 中計の「トランスフォーム2025」では、情報、商品開発、物流の三つを重点分野として取り組みを進めている。

 情報では、引き続きサイネージによる広告事業に注力。サイネージの導入チェーン数は堅調に推移しており、今期は新たにサイネージを活用したキャンペーン施策を開始した。また、地方自治体や地域の生産者などを広告主とした取り組みも推進する。

 商品開発では、凍眠市場の商品がカタログギフトやEC、ふるさと納税の返礼品などにも広がっている。このほか、おせち、クリスマスケーキを刷新し、ラインアップ充実を図った。

 物流は、2024年問題への対応のため、サプライチェーン全体の効率化を推進している。物流センターの効率化や予約システムの導入で待機時間を無くす取り組みも始めた。さらに、製配販の協業で、トラックの積載効率アップやドライバー負荷軽減にも取り組んでいる。

 非財務面では、エリア総合職を新設したほか、スライドワーク・在宅勤務を制度化し、育児、介護など様々な条件下でも働きやすい環境を整備した。また、太陽光発電の導入を進め、CO₂排出量の抑制にも取り組んでいる。

 なお、今上期の業績と第3四半期の進捗から、通期の業績予想について、当期純利益を7月31日発表の51億円から4億円増の55億円と上方修正した。