カインズは、9月14日、商品開発体制を刷新し、新たなプロダクトブランドを開発すると発表した。この取り組みは、佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendoの協力を得て実施するもの。
カインズは、2007年に「SPA宣言」で独自商品の開発強化を打ち出し、さらに18年にはIT技術の活用でより快適で楽しい買い物体験を提供する「IT小売業宣言」を行うなど、従来のホームセンターの枠にとらわれない取り組みを行ってきた。今回の新プロダクトブランドの開発もその延長上にあり、高家正行社長は、「お客様のくらしを取り巻く環境やニーズが変化する中、今だけでなく、5年後、10年後を見据えたブランドづくり、組織づくりをnendoさんと一緒に行いたい」と説明した。
新しい商品開発体制は、個人と組織の取り組みをハイブリッドにしたもの。高家社長によれば、「従来は個人が企画を立案し、バイヤーやMDに伝える縦型の体制だった。これだと、商品開発や改良のスピードが速く、市場のニーズに迅速に対応できるというメリットがある半面、個人の力に頼るために知見や技術が組織に蓄積されにくいという課題があった」という。そこで、新たにチームによる商品開発機能を追加。チームで企画立案を行い、カインズの提供価値を再定義するとともに、生活シーンから課題を抽出、組織横断型チームで開発に取り組むことで、「事業部やカテゴリーを越えたカインズらしい‶よりよいくらしの提案〟ができる」(高家社長)環境づくりを目指す。
開発体制の刷新とともに発表した新たなプロダクトブランドのコンセプトとブランド名は、以下の八つ。くらしを「支える」従来の「カインズ」。日々のくらしを「楽に」がテーマの「カインズスタイル」。日々のくらしを「すこやかに」の「カインズフィット」。くらしを自分らしく「クリエイティブに」の「カインズメイク」。いつものくらしに「プロの視点を」の「カインズイムズ」。職人さんの一日を「よりよいものに」の「カインズプロ」。‶うちの子〟とのくらしを「心地よく」の「カインズペット」。自転車をくらしの「パートナーに」の「カインズサイクル」で構成される。
第一弾で「カインズスタイル」を来年4月にリリースの予定だ。また、既存のオリジナル商品もこの八つのカテゴリーに分類される。
このコンセプトに基づき、売り場も変わっていく。6月にオープンしたカインズのハンズ新宿店では、すでにこの八つのコンセプトに基づく売り場づくりが行われており、従来のカテゴリー別の売り場ではなく、くらしのコンセプトに基づいて構築されている。今後、各コンセプトの品揃えが充実してくれば、コンセプトを絞った小型店を都市部や都市郊外に出店することも視野に入れている。
(トップ画面は、左からカインズの土屋裕雅会長、高家正行社長、佐藤オオキデザインオフィスnendo代表)